第2部8章 ファルテート
温泉郷で傷を回復させた一行はトロイメアを目指し廻天を出発するが、ルーファスの元にアダムから「フレイグ兄さんは毒薬の国で何かするつもりだ」と連絡が入る。
これすごい便利ですよね。兄弟たちだけが使える謎トランシーバーシステム。
ちなみにシリルからもちょいちょい連絡が来てて「ルー兄本気なの?」「戻ってこないの?」って聞かれたりしてます。
毒薬の国は元々ひとつの大国だった毒を生業とする王制の国が4つの小国に分離し、表向きには各国が友好関係を築いて経済が成り立っているが、裏では利権と覇権争いが建国時からずっと続いているような状況。
ただでさえ情勢が不安定なところフレイグが何かしようものならその被害は甚大なものになるはずだと不安がるナビ。
一行は急遽毒薬の国へ向かうことに。
アピス
毒薬の国アベーテルの王子。
右脇腹に一族の証として蜂の刺青が入ってる。
この刺青は毒薬の国が4つに分かれるときに結束を誓って彫られたもので、他の3国の王子もそれぞれ別のモチーフの刺青を入れている。
アベーテル王妃はめちゃくちゃ息子を溺愛してて、アピスは母に言われるまま勉学や礼儀作法やフルートや教養を身に着けて来たけど、ホントはもっと自由に自分らしく振舞いたいと思ってる反抗期。
誰かに身体を触られるのが苦手なんだけど、姫に触られるのは嫌じゃない。
サキア
毒薬の国モルファーンの王子。胸元に蝶の刺青。
ぼそぼそ喋るCV賢章さんまじかわいい←
毒草まみれの毒薬研究室で国の主力産業である毒薬の製造を日夜行っている。よく徹夜する。
モルファーン国王が毒薬なんて必要のない平和な国にまで毒薬を売りさばいているのを、国の経済のために仕方ないことだと思いつつ心を痛めてる。
争いごとに使われるような毒薬ではなく、毒草から栄養素だけを抽出して調合した栄養剤や人を助けるような薬を精製し、世界に広めようとがんばってるところ。
レイス
毒薬の国テルソートの王子。左肩に飛蝗の刺青。
軍事や外交で国を強く豊かにすることに厳格な国王と4人の兄から「役に立たない王子」だと言われ育ってきたレイスは、自由奔放に明るく楽しく芸術の中で生きることを好むようになる。
時に投げやりだったけど、「レイスの音楽や絵画も軍事や外交と同じように国を豊かにしている」と兄や国王に姫が物申してくれたのを切っ掛けに、自分は自分のやり方で、王子として国を守っていこうと思うようになった。
フォーマ
毒薬の国ファルテートの王子。左手の甲に蟻の刺青。
毒を吸収することができる体質を持ち、どんな少量でも毒が入っていれば一目で分かる。
しかし、憎しみや妬み、悪意など、人間の負の感情も毒として感じ取ってしまうため、これに当てられて体調を崩してしまうことがある。
ファルテートは他の毒薬の国から強硬な態度を取られることも多く、過去城の中にはフォーマの食事に毒を盛って暗殺を企てる者が潜んでたりしたこともあった。
一緒に居ても一切毒を感じない姫と一緒に居ると心が安らぐ。膝枕が好き←
今回、再び現れ始めたユメクイへの対処を巡り、最も軍事力の強いテルソートが陣頭指揮を執りたがるも、これに反対したファルテートが宣戦布告を受け、フォーマの父上であるファルテート国王は、降伏するか応戦するかの二択を迫られていると言う。
ちなみにお父上同士は結構毎度こんな感じでも4人の王子たちは幼馴染みの仲良しで、彼らの計らいによって収まった争いも過去にはいくつかありました。
救世主アダム
膠着状態が続いていた両国だったが、国境付近にテルソートの軍が攻め入って来たとの連絡を受け、一行が現場に駆け付けると、そこにはフレイグとイザーク、イヴァン、シリル、そして不安げなアダムの姿が。
「言われた通りにやるんだ」とフレイグに肩を叩かれたアダムは、戸惑いながらもユメクイを放出し、攻め入って来たテルソートの軍隊の夢を奪い眠らせていく。
今まさに敵国に攻め入られようとしていたファルテートの軍勢は、「ユメクイが自分たちの味方をした」状況に困惑しながらも、「良かった」「助かった」と口にする。
毒薬の国の歴史を調べ、自国の利益を優先し友好関係にある他国を出し抜こうと軍事力を拡大してきたテルソートは「夢を与える価値がない国」であると考えたフレイグは、「トルークビルはユメクイを持ってファルテートを支援する」と声高に宣言。
フレイグから「毒の感情」を感じ取れなかったと言うフォーマは、自分の国を守ってくれたトルークビル、そしてこの申し出を受け入れたファルテート国王を責めることができなかった。
こうしてファルテートにとって救世主となったアダムは街の人々から感謝され、もてなされる。
これを見てフレイグは、自分たちは「正しいことをしている」という自負をますます高めていく。
開戦
ファルテートを支援する軍事力としてその指揮下に入ったかと思われたフレイグたちだったが、国王はあくまで「抑止力」としてこれを受け入れたため、テルソートに自ら危害を加えることは一切考えていなかった。
しかし「テルソートの愚かな王族が生きている限り争いは繰り返される」と言うフレイグは、国王の指揮を待たず独断でテルソート城を襲い、レイスの父と4人の兄は夢を奪われて目覚めなくなってしまう(本気で搾り取られたらしく姫がどれだけ祈ってもなかなか目を覚まさない
これに激怒したテルソートの兵士たちは、ついに持てる軍事力すべてを投じ、ファルテートに攻め入って来る。
手が付けられないほど激化した戦場を前に、姫とアヴィは「キエルの力でこの肥大した夢を奪うことができないか」と提案するが、「こんな膨大な量の夢を奪うには力が足りない」と悔しそうなキエル。
↑このやり取りめちゃくちゃかわいいw
と言うかそろそろキエルのかわいさが爆発してきててやばい。かわいいのはここだけじゃなくて全部なんです。かわいくないとこひとつもありません。キエルが居てくれるだけでアヴィもルーファスもみんな仲良しに見えるしすべてのシーンがギャグシーンのようになる。(ぇ
いま国で眠ってしまってるアトラス国王のこと「太陽みたいな人だった」って言ってたけど、そっくりなんだな。ホントに太陽です。
アヴィのことをずっと「兄貴」って呼んでるのも姫を「姫ちゃん」って呼ぶのもかわいいw
アダムの告白
戦場に姿を現したフレイグは、キエルとルーファスの力で「肥大した夢」だけを奪っても意味がない、テルソートの愚かな兵士たちは根絶され2度と同じ争いが繰り返されないようにするべきだとして、これを阻止しようとする。
そして、怯えたような様子のアダムに「兵士が2度と目を覚まさないよう夢を奪い尽くす」ように言い付けるフレイグ。
イヴァンも「これはアダムが幸せに暮らせる世界を実現するために必要なこと」だと静かに彼を諭す。
しかし、思いつめた様子のまま俯いて動かないアダム。
やがて意を決したように顔を上げ、イヴァンの目を真っ直ぐに見つめながら、「できない」「僕はもう死にたい」「ずっとそれを望んできた」と告白した。
泣きました←
なんかわたしほりえるの声だめかも知れない何言ってても涙出そうになる。
正しいとか間違ってるとか、良いこととか悪いこととか、そんなのはよく分からないけど、ただ、ただ、とにかく「ああ自分が生きるためにはこんなにたくさんの人を犠牲にしなきゃいけなかったんだ」って目の当たりにしちゃったんだよね。
「兄弟を傷付けたくない」「言えない」より、「死にたい」が勝ってしまったんだ。
兄弟たちが放心状態でアダムを見つめる中、ぽつりぽつりと言葉を紡ぎ始めるイヴァン。
「お前の望みはすべて叶えたい」
「でも、俺はお前と生きていきたい」
その言葉を聞いて、再び力が暴走しそうになるアダム。
やっぱり「生きたい」とか「生きよう」って思ったら力が暴走してしまうのかな。
てかさちょっと思ったんだけどホープって最後「夢世界を丸ごと飲み込むほどのユメクイ」を生み出してなかったっけ。
どうやらキエルはフィルムパーク内のちょっとした広場くらいの量ならいけるけど戦場丸ごとはルーファスのお手伝いがないと厳しいみたいだし、持てる力すべてを解放しても普通はそれくらいなのかなって。
そう考えるとホープも「強大な奪う力を持って生まれた」異端児だった?
でも、ホープはその力が目覚めるまで、いや目覚めてからも、特に飢えに苦しむことなく暮らしてたよね。
少なくともレコルドの街の人やチルコの子どもたちから奪った夢しこたま取り入れてさらに姫がぶっ倒れるまで夢を与え続けなきゃ顔に血色が戻らないほどではなかった、はず。
もちろんアダムは20年も夢の供給がないアトラスに居たからとんでもなく空っぽな状態だったんだろうけど、それを差し引いても彼が満たされないのは、「生きること」が当たり前じゃないからなのかなってちょっと思った。
みんなで楽しく笑って生きることが「当たり前」になったら、特に力が暴発することもなく、飢えも感じにくくなったりするんじゃないか。
そしたらホープと同じように出したい時だけ強大な力を出してその必要がない時は抑えていられるみたいな状態になったり、しないかな。
逃亡
アダムの力の暴発を抑えるため彼に駆け寄って行く姫とキエル。しかし、アダムはただ首を大きく横に振ると、「もうここにはいられない」と呟き、重そうに身体を引き摺りながら空にムーンロードを架け、これを駆け上って行ってしまった。
アダムを追いかけようと走るイヴァンだったが、ムーンロードはアダムが進む足跡と同時に空に消えていくため間に合わない。
アダムの逃亡に苛立ちを見せるフレイグに「自分がアダム兄の代わりになる」と申し出たシリルが戦場にユメクイを放つも、アダム程の膨大な力を放出することはできないため、結局フレイグが望んでいなかった「キエルの力で肥大した夢だけを奪った」のと同じ状態となり、争いは終戦を迎えた。
「お前はアダムの代わりにはなれない」「余計な邪魔をするな」とフレイグに叱咤され、腹を立てどこかへ走って行ってしまうシリル。
そう言えばシリルは2部序盤から「アダム兄ばっかり」ってぼやいてましたね。
イザークやイヴァンにもよく「あいつのためなんだから」って怒られて不機嫌そうにしてました。
反対にフレイグから「よくやった」って言われたときはちょっと嬉しそうだったり。
この計画を本当に成功させたいならフレイグはまず弟たちの心と向き合ってあげるべきなんだろうけど、そもそもフレイグ自身がすべてひとりで抱えて誰にも心を許せないから難しいよねぇ。
揺れる兄弟たち
姫の懸命な祈りによって目を覚ましたテルソート国王は、毒薬の国の4人の王子たちの呼び掛けもあり、一連の行いを省みて、4国の協力関係をより強固なものにしようと動き出した。
有事の際にはテルソートが軍事力を、アベーテルが武器支援を、モルファーンが研究を、ファルテートが補給物資をとそれぞれの分野で援護し合うという新たな公約も生まれ、トルークビルの介入により結果毒薬の国は良い方向へ前進したとも言える結末となった。
フレイグは「これで示威運動としての目的は果たした」「トルークビルを求める声が各国で上がるようになるはずだ」との見通しを立て、「早くアダムを探して連れ戻さなければ」と焦っていた。
シリルを迎えに行こうとするイザークを「放っておけ」「頭を冷やさせる」と制止して歩き始めるフレイグの後ろ姿を、イザークは複雑な面持ちで見つめていた。
一方シリルはサキアの毒薬研究所で眠っているのを王子たちが発見。
「フレイグたちはもうファルテートを発ったはずだ」というフォーマの言葉に、決まりが悪そうに俯くシリル。
どうやらここ数日間1人で街をうろうろしたり屋外で睡眠をとったりしながら過ごしていたらしい。
本編では「一緒に行く」とは言ってもらえないまま終わりますが、8章クリアで報酬でもらえるシリルの個ストが続きになっていて、「あんたに誘われたからじゃない」「ただトロイメアがどんなとこか見たかっただけ」くらいは言ってもらえます。ルーファスをもう少し素直にしてかわいくしたのがシリルって感じかなw
そりゃ生まれてから「アダムアダムアダム」言ってる兄さんたちとしか接したことがないんだもん「独りぼっち」だって思うよね。
太陽ストスチル最高にかわいかったです。
母のような気持ちになります←
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