第2部4章 ヴィラスティン
花の精の国ヴィラスティンは、大地と水の女神に愛された不思議な力によって、心を宿したたくさんの花や種子の精霊たちが、それぞれに一族を築いて暮らしている国。一族の王は世襲ではなく時が来るとその女神によって選ばれ指輪を授けられる。
夜行の花
植物の毒は科学的に生成された毒とは違い使われた証拠が残りにくいことから、かつてそれらを欲する国や組織から侵略を受けたことがあったヴィラスティン。
夜行の花はそのときに女神と毒花の王子たちが集まって自衛のために結成された、毒を持つ花の種族で組織されている特殊部隊である。
本来隠密を得意とする国を守るための部隊であるはずだが、一行は国を訪れるや否や白昼堂々夜行の花から「入国は認めない」「即刻立ち去れ」と手荒な歓迎を受ける。
聞けば最近彼らはユメクイに対抗するより強力な武力を得るために毒のない花々を刈り取りこれを毒に染めるなど、毒を持たない花の種族をぞんざいに扱い、暴言を吐いたり横暴を働いたりと穏やかではないらしい。
リオン
タンポポの一族の王子。
綿毛に掴まって空を飛ぶことができる。
そう言えば恒常リオンもホープお兄ちゃんのユメクイと戦ってくれたなぁ。
リオンが「遠くに飛んでっちゃえ~─」って言いながらハトピ出してくれるのめちゃくちゃ心の支えだった最終戦、思い出す…←
今回は夜行の花に追い返されそうになっている一行を綿毛によって空に引き上げて救出してくれたリオン。
空の上で楽しそうなフレイグとただただびっくりしてるアヴィがかわいかったw
ジェルバー
ガーベラの一族の王子。
とにかく困っている人を放っておけない。
でもそれは、ある日突然王子に選ばれて、なんで自分が王子なのか、どうしたら王子らしくなれるのか、そんな想いからだったりもする。
ジェルバーとは大地と水の女神が祀られてる洞窟で一緒に遭難しかけたなぁ。(ぇ
一足先にヴィラスティンにやって来たキエルと仲良くなってご飯食べさせてあげたりしてたジェルバー。なんかめっちゃ似てる気がするこの2人w
そんなこんなで、今回は王子たちと一緒にキエルも行動を共にすることに。
ネペンテス
ウツボカズラの一族の王子。
優れた嗅覚と、舐めただけでその人のすべてが分かる舌を持っている。
美食家なんだけどゲテモノ食いで初めて会った頃は食あたりで森でぶっ倒れたりしてたネペさんw
こんなんだけど中の人は広樹さんなので姫を本気で食べようとしてくる個ストは18禁です←
初対面の人をくんかくんかしてぺろりしようとするとこを除けば意外と常識人でしっかり頼れる。
アキト
曼珠沙華の一族の王子であり、夜行の花の頭領。
アキトの一族「曼珠沙華」は、かつて「死人花」「地獄花」と不吉がられ、真っ赤な花畑は「血のようで不気味だ」と他の多くの花の種族から恐れられていた。
しかし、アキトは毒を持つ花もそうでない花も一様に「美しい」と言われ愛される国を目指し、花の毒抜きや品種改良、毒を活かした薬や食べ物の開発など多くの活動に尽力し、ヴィラスティン中の人々の意識を変えて来た。
戦いになると物凄く強くて、忍者みたいに目にもとまらぬ速さで相手の懐に入り込めるアキト。
指先には花の毒が仕込まれた爪を隠しており、身体を痺れさせる程度のものから死に至らしめるものまでその毒の威力をコントロールすることができるが、大切な人が危険にさらされると我を忘れてしまうことがある。
そう言えばアキトさんも手を出してくる前にちゃんと告白してくれる王子様でしたねw
毒のない花の種族と毒花の種族が対立している今の国内情勢を誰よりも嘆いていて、夜行の花の頭領として自分には何ができるのか、ひとりで悩みを抱え込んでしまっている。
肥大した夢の暴走
毒を持たない花は「守られることしかできない無力な存在」であり、毒によって国を守ることができる自分たちこそがこの国の権威であると主張し始める夜行の花の隊員たち。
「毒の有無に関わらず全ての種族が力を合わせて国を守っていくべき」だと主張するアキトはついに夜行の花の頭領を下ろされてしまう。
一方で、夜行の花によって威圧され従うしかなかった無毒な花の種族たちもまた、「本当に花に毒は必要なのか」「虐げられるべきは彼らの方なのではないか」と考えるようになる。
お互いに「自分たちこそが」と主張し合う両者はついに、「花畑に火を放つ」という、花の精の国の民としてあるまじき行為に手を染めてしまう。
その悍ましい光景を目にしたナビは、「みんなの夢が肥大している」「肥大した夢は人を壊してしまう」「父上と母上の命を奪ったあの騒乱と同じだ」と青ざめる。
そして、その混沌を蔑むように見下ろしていたイヴァン。彼はルーファスやイザークとは違い、どこか正義感のようなものに満ち満ちている。
彼らをおかしくさせているのは与えられ過ぎて持て余した「夢の力」であり、これはトロイメアの姫が生み出した惨劇だと言ってこちらを睨み付ける。(ここで「そんな目でこいつを見るな」って前に出てくるアヴィがかっこいい←
夢のありがたさを理解せず、自分たちで傷付け合い、血を流し合う、果たしてそんな者たちに夢を与える必要があるのかと問い掛けるイヴァン。
それでも夢は誰にでも平等に与えられるべきであり誰にも奪う権利はない、与える人を選んだりしない、それをするのが夢王であり、「そのうえで彼らの声に耳を傾け向き合う」と、かつての父上やライトと同じ答えに辿り着く姫。
暴走するヴィラスティンの人々の夢を、それでも奪わせまいと奮闘する一行であったが、潜んでいたイザークの加勢により、肥大した夢は巨大な闇のようなユメクイに包まれもろとも奪われて、人々は意識を失い倒れ込んでしまった。
勝ち誇ったようなイザークは次の目的地を告げるとイヴァンを連れて早々に退散。なんでこの子ら毎回次に行くとこ教えてくれるんだろうw
映画の国でルーファスが待っているそうです。
ルーファスやだな…ルーファス怖い←
キエルの能力
正直ここ難しくてめっちゃ何回も読み返したんだけど、恐らくイザークやイヴァンが人々を巨大ユメクイで包み込んでしまった直後、夢を搾り取る直前に、キエルが何かしたんだと思います。
ナビは「こんな膨大な量の夢を一瞬で奪い去ることができるなんて」ってめちゃくちゃびっくりしてたんだけど、当のイザークやイヴァンはちょっときょとんとしてたんだよね。
しかも、夢が奪われたって思った瞬間、姫にだけは「できる」「やるしかない」っていうキエルの声が聞こえてて、彼の身体から黒いもやが湧いてるように見えて、さらにその後巨大な黒い鳥が地を滑って空へ飛び立っていったように見えた、って言ってた。
で、結局そこら中で倒れてるみんなの元に駆け寄ったら、夢は根こそぎ奪われてたわけじゃなく普通に充分残ったままで、ただ倒れてるだけだった。
イヴァンの目
騒動が収まり、焼け野原となってしまった国を眺めながら、街の人たちは「本当はこんなことするつもりなかった」、お互いを「無価値だなんて思っていなかった」と後悔の言葉を口にする。
しかし、「街にイヴァンが現れて、彼の目を見たら、自分の中にある欲のようなものが湧き出して来るのを抑えられなかった」のだと言う。
確かに普段とは違い感情のままに熱り立って我を忘れていたかのようだった彼らの姿は、恐らくイヴァンの不思議な能力によるものだったのだろうと王子たち。
イヴァンには「人の夢を肥大させて欲にする力」があるのかも知れない。
しかし、「きっとイヴァンは関係ない」とぽつり呟くキエル。続けてナビも、「誰に何をされたわけでもなく、ただ欲に駆られ我を忘れてしまった人たちの姿を自分は見たことがある」と過去を振り返る。
この一連の出来事によって、自分たちが悲しい旅の果てに誓った「誰もが平等に夢を享受できる世界」が本当に正しいのか、間違っているのか、悩み始めてしまう姫。
夢は膨らむと欲になって人間を傷付ける。これによっていちばん傷付けられた人を姫は忘れていなかった。
アダムの正体
なんと、今回イヴァンの発言によりユメクイ集団が夢を奪って回っているのは彼らの「兄弟であるアダムのため」だったことが分かりました。
アダムは常に夢の力を必要としていて、飢えていて、それなのに夢王族から夢を与えられてこなかった。
たぶん、身体は夢世界の人と同じで夢がないと生きられないのに、夢王国トロイメアもその名を知らない国アトラスに生まれてしまったために夢の力を得ることができず、弱り果て、だから兄弟がユメクイ集団となって夢世界に夢を奪いに来ていた、って感じなのかと。
しかもアダムとイヴァンって名前、アダムとイヴから来てる気がする。
ちょっと思ってたんですよ2人は服装が似てるなぁと(袖のとこ
もし、ユメクイを生み出す力が「肥大して欲になった夢」を目の当たりにして「絶望」することによって宿るんだとしたら、ルーファスやイザークやシリルやイヴァンは全員ホープと同じ感情を味わったことがある、ってことになるよね。
「兄弟であるアダムが夢をもらえず死にかけてるのに夢世界には夢を持て余して争い合ってる人がいるくらいそれが溢れてる」って知って絶望したのかな。
彼らが姫やナビにやたら突っかかって来てたのもこれで説明がつくし、特にイヴァンの言葉「夢のありがたさも分からず血を流し合う人間に夢を与える価値なんてない」って、まるでかつてのホープの心を代弁しているかのようだった。
突き詰めると境遇は少し違うんだけど、きっと誰よりもアダムのことを大切に想っているんであろうイヴァンと、ライトを想うホープの心は何が違うんだろう。
イヴァンはライトが「愛する人を守るために世界を傷付けてしまう」「昔と何も変わらない優しい弟のままだ」って言ってた、あのホープの姿そのもののような気がする。
仮にもアトラスの人たちがムーンロードを架けたり消したりできる能力を持っているんだとしたら、本当はユメクイで夢を奪うという強行手段に出る前に、夢王のところに相談に来ててもおかしくないと思うんだよね。
もしかしたらそういう穏やかな手段はことごとく踏み躙られてここに至ってるのかも知れないし。実際バレッチみたいな家臣もトロイメアには居たんだから。
いずれにしても、この物語が「夢の力」によって彼らを救う物語であり、ホープやライトや亡き父上みんなのしてきたことが間違ってなかったんだと証明されるような結末を迎えられることを祈ります。
2人の母上
今回最後焼け野原になってしまったヴィラスティンは王子たちと女神の力によってもう一度美しい花々を取り戻すんですけど、その咲き誇る花を眺めながらフレイグが故郷の母上を思い出すシーンがあるんです。
そしたらアヴィがホントに穏やかーな笑顔で「俺の母上も花が好きだった」って。涙
小さい頃はめちゃくちゃ身体が弱かったアヴィ、いよいよ命が危ないかもってなった息子のためにお見舞いのお花を摘みに行った母上が森の奥の花畑で獣に食い殺されてしまったのをずっと「自分のせいだ」って思ってて、出会った頃はお母さんの話なんて絶対できないし写真も見れなかったんだよね。
愛犬フラフの母犬ララもアヴィの母上を守ろうとして同じ森で殺されてしまったので、アヴィはフラフにも申し訳なくてずっと一緒に遊んであげられなかった。
アヴィもいろんなこと乗り越えて強くなってここに居るんだなぁとちょっとしんみりしてしまったよ。
そして、もしかしたらフレイグもアヴィと似たような境遇なのかも知れないよね。
いつも物凄く気を張ってるフレイグが珍しくちょっとぼーっとしてたし。
てか、関係ないけどフラフの母犬の名前なんだっけと思ってこのタイミングで改めてアヴィの個スト読み返してみたんだけど、やっばいw
わたしアヴィはホントいちばん最初にもらえる王子様だからその頃はスト読んでも「ふんふん、へぇ」くらいにしか思ってなかったのよ。そもそも個ストってメインストにはあんまり関係なくて、あくまで「この王子と恋したらこんな感じ」を深堀りしてくれてるだけだって認識だったし。
なんだけど、いまメイン第1部全部読み終わったこのタイミングでアヴィのスト読んだら、破壊力やばい。特に月ストシクレ。女の子に奥手だなんて絶対嘘だし、メインのアヴィ込みで姫と裏ではこんなことが繰り広げられてるのかと思うとにやけずにはいられないし、世界中の女子が姫になってアヴィのこと好きになっちゃうって思った(?
改めてだけど、姫の無鉄砲な感じってたぶんアヴィの母上に似てるんだわ。そりゃ危なっかしくて見てられないよねぇ。
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