第2部12章 夢を繋いで
アダムの身体から猛烈に噴き出す闇が彼の悲鳴を飲み込んで膨れ上がると、夜よりも遥かに深い闇が夢世界の空を支配し、とてつもない迅雷と共にあらゆる光を奪っていった。
強烈な黒い閃光が走り、落雷が鋭い刃のようになって、大地を、空を、空気を切り裂いている。
指輪で増幅された異端の力はまるでブラックホールのようになって、ただ轟音と共に夢の力を吸い込みながら、さらに大きさを増しながら、こちらに近付いて来る。
全員がもう飲まれるしかないと諦めたその時、「まだ諦めない」と強く願った姫の指輪からは光が溢れ出し、閉ざされていく世界の中でそこだけが夢の光に包まれている状態に。
「まずはアダムから指輪を外す」「そして夢世界中の王子たちに夢を届けてもらう」という姫の力強い言葉に、疲労が消え、瞳に光が戻っていく王子たちと兄弟たち。
ここで1部組がアトラスを離れて世界中の王子たちに夢の力を分けてもらう交渉をしに、姫は兄弟たちとアヴィナビキエルと共にブラックホールの中に入ってアダムから指輪を外しに、二手に分かれて行動することに。
別れ際にシリルがヒナタのモモちゃんに謎トランシーバーを埋め込んで、念のためいつでも連絡を取り合える状態に。
シリルのユメクイは蛙なんですね。
だからシリルって高く跳べるのかなw
緊急世界会議
1部組がアトラスからトロイメアに戻り、レコルドへ到着すると、突然世界を包み込んでしまった闇と際限なく生まれてくるユメクイについて「緊急世界会議」が行われている真っ最中だった。
そこに飛び入り参加し、「夢世界の起源について」「異端の力について」そして今暴走してしまっているアダムを鎮めるために「王子たちの夢の力が必要であることについて」発言させてもらうことができた1部組。
今まさにユメクイが大量発生し、混乱の最中にある世界中で、王子たちのさまざまな意見が飛び交うが、しかし、「誰ひとり欠けることなく夢を享受できる世界」を実現しようと自ら最前線に赴き戦って来た姫をよく知る王子たちは、最終的に全員が「トロイメアの姫に力を貸したい」と立ち上がった。
長い回廊
自らブラックホールの中に飛び込んだ一行は、一切何も見えない何も聞こえない闇の中を手を繋ぎながら進んでいた。
イヴァンが姫とシリルの手を取って進もうとすると、シリルが「なんでぼくがイヴァン兄と手を繋がなきゃならないの」「だったらお姫様と繋ぐ方がいい」って勝手に姫の手を引いて進んで行っちゃう。
そしたら「ライバルは兄貴とルーファスだと思ってたのに」って残念そうにしてるキエルw
みんなで姫の取り合いになってるのに「お前らこいつを困らせるようなことはするなよ」「それより先に進むぞ」ってめっちゃ冷静なアヴィがもう勝手に手を繋がれるくらいどうってことないほど余裕の境地に達しているのがとてもいいw
そうして暗闇に目が慣れてくると、黒曜石のような煌きをこぼしながら小さな光の玉が浮遊しているのが見えた。
光に導かれるままに歩いていくと、先が見えないほど長い長い回廊の入口へと辿り着く一行。
その回廊を一歩、また一歩と踏み進めていくごとに、恐らくアダムの夢の情景であろう兄弟たちの過去の幸せな風景が浮かんでは消えていく。
喧嘩をする幼いイザークとルーファスや、まだ赤ちゃんのシリルが泣いているのを必死にあやしているアダムとイヴァンの姿。
そして、母の墓石の前で憎しみの表情を浮かべながら「母さんを殺したこの世界が憎い」「この世界を変える」と独り言つ青年のフレイグの姿も。
そうか、弟たちには「取り戻したい幸せな日」がちゃんとあるのにフレイグにはそれがないのかも知れないね。
弟たちにはどんなに見失いそうになってしまいそうなそれでもちゃんと見えていたことがあるから「光を信じて」って言う姫の言葉が理解できるんだけど、フレイグには光ってなんだったのか、きっとそれがもう分からないってことなのかも。
ちなみにこのシーン、兄弟の幸せそうな過去を眺めながら「兄弟っていいなぁ」ってしょんぼりなキエルが、「ひとりっ子はオレと兄貴だけ」「オレたちもう兄弟ってことでいいよね」って突然言い出すの、かわいいw
アダムに夢を
長い回廊を進み切ると、そこには指輪に身体を支配され完全におかしくなってしまったアダムと、隣で満足げな笑みを浮かべるフレイグの姿があった。
自我を失ったアダムは容赦なくその力を一行に差し向ける。しかし、諦めず彼に呼び掛けながらこれを退ける。そうするうちに、ほんの一瞬目に光が戻り、兄弟たちの姿を捉えたかのように見えたアダムは、自ら指輪を外し、キエルの手にこれを握らせた。
「やっぱりアダムも戦っているんだ」「諦めずに呼び掛けよう」と言う姫。
ここで、シリルがモモちゃんに仕込んだ蛙型トランシーバーから「夢世界中の王子たちがアダムのために祈っている」と連絡が入る。
キエルが指輪を握り締めると、とんでもなく膨大な量の夢が「アダムを救いたい」という祈りによって強く光っているのを感じると言う。
キエルに命じられ、闇を突き抜けて飛び去った黒鳥は、光の速さで夢世界中の王子たちの夢を奪い、長い光の尾を美しく引きながら戻ると、煌きが織りなす光の滝が堰を切ったようにその場に流れ込んで来た。
溢れる強い夢の輝きは姫の祈りによってひとつになり、アダムの身体の中に注がれていく。
この辺理解が追いついてないんですけど、「奪う力で奪った夢」ってキエルの身体の中に取り込まれちゃうわけじゃないんだよね?
アトラが奪う力を暴発させてしまったときは全部の夢が身体の中に入って来て身体が軋んで焼けるように痛んだって書いてあったけど、そう言えばイザークやルーファスってユメクイを使役して夢を奪ったらそれを持って帰ってアダムにあげてたもんね。
姫は祈ったら夢が生まれたり増えたり強くなったり人に配ったりいろいろできるけど誰かの持ってる夢を奪うことだけができなくて、キエルは祈ったら夢を奪うことも与えることもあちこちやったりできるけど夢を生み出すことだけができない、ってこと?
「与える力」と「奪う力」って言うけど、正しくは「生み出す力」と「運搬する力」ってこと?←
世界に声を
たぶん、ここいちばんいいシーンなんだと思うんだけどわたし笑っちゃったんだよねw
とりあえず王子たちの夢でアダムは自我を取り戻したような状態になるんだけど、まだ気を抜いたら力に飲まれそうみたいで、結局「指輪の力によって彼自身が持つ奪う力も増幅されてしまった」「抑えるにはまだ夢が足りない」ってことになる。
姫は「夢世界中の民からも夢を分けてもらう」って言い出すんだけど、それを聞いてたトランシーバーの向こうからあのトロイの声がして、「歴代の夢王たちの夢の力によってここに居る自分なら、今の夢王である姫の声を、世界中にある姫の与えた夢に届けることができる」って言い出すんだよね。
まぁそれはいいとして、いまトロイはヒナタの「モモちゃん」に向かって喋りかけてるんだよなって思ったら可笑しくてw
だってトロイって光の塊だし、あんなに厳かな雰囲気醸し出してたのに、そんな「もしもしちょっと電話代わって」みたいなことするんだと思ってさ(殴
しかもその後「トロイお願い、私の言葉を世界中のみんなの夢に届けて!!!」って言って、姫はトロイとアトラのこと、荒廃した夢世界のこと、夢が肥大すること、すっごい長い話を最初から全部するの。
これ夢世界の民たちからしたら突然トロイメアの姫の声が脳内に直接話しかけて来てめちゃくちゃ長話をしてるってことになるよね。
寝てる人も食べてる人も遊んでる人もドラマ観てる人も居るだろうに…
ここ「ちょっとみんなびっくりしちゃってるじゃん」ってシュニーくんが焦ってるカットが入るんだけどますます笑ってしまったw
そして、最後はそこにキエルも加わって、アダムの生い立ちや境遇について解説、「だからどうかみんなアダムのために祈って欲しい」って、いや2人ともマジでいいこと言ってるんだけど、だめだ思い出しただけで笑っちゃう。
こっちはこっちで世界的身分ある2人がルーファスの手の甲に向かって演説してるんだもんw
アダムが拒むなら
その光景をずっと黙って見ていたフレイグは、「結局そうやってお願いして与えてもらわなければアダムが生きられない世界じゃないか」「与えてくれる人が心を変えたらアダムはどうなる」って怒りをあらわにする。
ギリギリ自我を保ってるような状態で「それでも僕はもう指輪を使わない」と決意を口にするアダムに、「そんなお前が憎い」と言い放つフレイグ。
怒りに任せ、キエルから指輪を奪い取ると、今度は自ら指輪をはめ、アダムを異端の力もろともその身体に取り込み、脇目も振らずこちらに襲い掛かって来た。
なんと…
いよいよ分からなくなってきました。(混乱
いや結局フレイグは「自分たちはこの世界の理でもある奪う力を持った王族の血筋」だって自負があって、さらにアダムはその中でもいちばん強い力を持っていて、だから夢世界で夢を与えられて平和ボケしてるような人たちに「施しを受ける」のなんざまっぴらごめんで、アダムこそが頂点であり世界であって欲しいっていう兄心に基づいてて、さらに本当にアダムなら指輪を使いこなせるっていう思い込みと、絶対にそれが母さんの望みなんだって本気で考えてるのかも知れんって一瞬思ったんやが…
そのアダムを真っ先に身体ごと喰らってしまうってなにごと?
もう自分でも何が何だかわけ分かんないとこまで来ちゃったってこと?
まじで前章からずっと思ってるけど、何がフレ兄をこんな状態にさせちゃってるの? 涙
ちなみに、そんな状態になってしまったフレ兄は例にもれず泣くほど強かったです…
デバフ麻痺でほぼ全員動けなくなるんでリダスキ麻痺無効は必須なんだけどそうすると盤面フル毒ピにされるのがめちゃくちゃ痛くて、ハトピロックされるから回復強力な子居ないと無理だし、そうするとスキルループできないし、そもそもスキルゲージ吸われるし、確か与ダメ上限もあったのか忘れたけどとにかく固いし、いつも愛でてる黄パじゃなく火力重視紫パにありったけの毒消しメモピを積んだ打倒フレ兄編成を組みました。でも無理でした。
みんなどうやって倒したの?←
12章リリース時の早期クリア報酬確かリバチケだったんだけど、わたしもうやんなっちゃって諦めたもんね。それでここから1年くらい進めずに過去マップでバッジ集めしてました。なのでこの戦いの決着はここから1年後ですw
信念と信念の決着
ついにフレイグの奪う力が弱まると、彼を取り巻く闇の中から脱出することができたアダム。
「自分の夢を取り込んだならこの情景も見えているはずだ」と言って、フレイグに「母が命と引き換えに自分を助けてくれたその最期の瞬間」の夢を見せる。
「どんなときでも兄弟6人で笑っていて欲しい」「それが母さんの最後のお願い」と言う母の言葉に、戦意喪失するフレイグ。
そんなフレイグの指にアトラの指輪が食い込み、指輪の力が彼を取り込もうとしていることに気付いたルーファスとキエルは、慌ててフレイグを取り押さえ、その指から指輪を抜き取る。
するとそれを切っ掛けに突然轟音が鳴り響き、辺りの景色が歪み始め、四方から闇の壁が迫って来た。
ここは指輪の力が作り出した異空間の中とも言える場所なので、力を失えば空間は消滅し、中に居る自分たちは2度と外に出られなくなるかも知れないと言う。
一行が慌てふためいていると「自分がどうにかする」と名乗り出るアダム。
指輪の力も異端の力もどちらも同じ「奪う力」であり、そもそもここは元は自分が生み出してしまった空間でもあるということで、「自分が力を放出する限りこの空間は形を保てる」と言う。
「そうしたらアダム兄がまた力に飲まれ自我を失ってしまう」とシリルはその申し出を拒むが、「大丈夫」「光はある」とアダム。
さっき姫とキエルが夢世界のみんなに全部話して頼んでくれたから。きっともうすぐたくさんの夢が僕に届くから。「そうすれば自分はまた力を制御できるし、力に飲まれることもない」と力強く言い切った。
夢を繋いで
慌てて闇の外に出た一行は、夢世界中の夢がたくさんの祈りによって強く光り輝いていることに気が付いた。
「アダムが助かりますように」「家族と幸せに暮らせますように」という、抱え切れないほど大きな願い。そのあまりにも温かく眩しい気配に胸を打たれる一行。
急いで集めて一刻も早くアダムに届けなければならないということで、「みんなも奪うの手伝って」と兄弟たちに声を掛けるキエル。
キエルの黒鳥にイザーク、ルーファス、イヴァン、シリルのユメクイが重なって、大きな柱のようになると、トロイメアへと架かるムーンロードの向こうから吸い込まれるように集まって来る、夢、夢、夢。
ここはイベントバトルになっていて、とにかくひたすらパズルを100チェイン繋ぎます。
バトル中は特別なエフェクトや王子たちが姫の祈りを励ますようなボイスがカットインしてくるというめちゃくちゃぐっとくる演出。
そう言えば夢100は最初からパズルを繋ぐ=祈ってるっていう設定でしたね。毎回必死過ぎてすっかり忘れてました←
記憶と引き換えに
無事にアダムに膨大な夢が届けられ、ブラックホールのようだった闇の空間は勢いよく萎んで消えていった。
空は晴れ、荒れた大地に夢が満ち渡り、芽吹いた草花の鮮やかな色が広がる。
その美しい草原に立つアダムは、透き通るような白い肌に美しい銀色の髪、目には光が戻っていて、力強く自分の足で立っていた。
アダムの無事を喜び、駆け寄っていく一行。しかしアダムは慌てた様子でフレイグの姿を探していた。
実は一行が闇の空間から脱出するとき、フレイグはひとりアダムの元に残り、自分のユメクイを使ってアダムに自分の夢を吸い取らせていたと言う。
そして少し離れた場所に倒れていたフレイグは、もう息がなく、その様子はこれまでに見て来た2度と目覚めなくなってしまった人たちのものと同じだった。
諦められないアダムは、フレイグが闇の中で自分にしていたように、自分で自分の夢を奪いフレイグに与えたいと言い出す。
すると、闇の中の回廊で一行をアダムのところまで案内してくれた黒い光、アトラの思念体が現れ、「死者を蘇らせることはこの世界の理に反すること」であり、そんなことをすればアダムの命と引き換えになるか、それすら叶わず両者もろとも死んでしまうかも知れないと忠告する。
しかし、それでも試したいというアダムの意志は固かった。
全員が祈りながら見守る中、奇跡的にフレイグは目を覚まし、アダムも無事だったが、アダムはこれまでの記憶すべてと、持って生まれた異端の力すべてを失ってしまった。
トロイによれば、これは「人の想いが起こした奇跡」であり、また記憶と異端の力を失ったアダムは一度死んでまた生まれたのと同じことが起こったため、異端の力はもともと世界が肥大した夢で溢れていたのを整えるために生まれたものなので、アトラの指輪を使える者が現れたこの世界には必要ないものとして消失したのだそう。
そうか、異端の力ってそういう使命だったのね。ことごとく夢世界は上手くできてるんだね。
今回世界中の人たちからちょっとずつ夢を分けてもらったけど、これって結果的に肥大する前に満ちた夢が奪われて均衡が保たれた状態になったってことなのかな。
あのトランシーバー越しに姫がみんなの脳内に直接語り掛けたことによって今誰もが「夢を奪う力が必要なんだ」って分かってる状態になったし、本当に夢世界はトロイとアトラが生きていた頃の姿に戻ったってことだよね。
そして、永遠とも思えるほどに長い年月を経てようやく再会した思念体になったトロイとアトラは、歴代の王たちが想いを繋いで約束を果たすことができたことに感謝し、姫とキエルそれぞれにこれからの夢世界の未来を託して、ゆっくりと重なってひとつの強い光になると、空に溶けるようにして消えて行った。
わたし、トロイの思念体はあのトロイメアの書庫から出られないし、アトラの思念体は指輪の力の中でしか会えないのかと思ってたよ。結構自由に動き回れる存在だったんだね。
あああ本当に良かったなって思うけど消えちゃうの寂しい。また何かあったときに姫やキエルを守れるようにしばらくここにおって欲しかったふたりとも(殴
旅の終わり
記憶を無くしてしまったアダムと、彼に合わせる顔がないというフレイグを連れて、亡き母の願いを叶えるため、これからはどんなときでも6人で笑い合い暮らしていくことを誓った兄弟たち。
シリルが「お姫様も一緒にトルークビルで暮らそうよ」って言うのを弾みに、ルーファスもイヴァンも、あのイザークまでも「弟たちがこう言ってるんだけど…」とかって言ってる(かわいい
でも姫は「私にはやるべきことがある」「再びナビと世界中を巡り夢を届ける旅に出る」って。
まぁ姫とナビはほとんどお城には居ないけどさ、アトラスとトロイメアがムーンロードで繋がった今、みんな陸続きになってご近所さんみたいなもんだからいいじゃんねw
でもキエルが住むアトラスのお城からトルークビルってどれくらいの距離なんだろう。船とかで行くのかな←
そういえばアトラスの王子って姫がいろんな国に順番に夢を届けるのと同じようにいろんな国からちょこっとずつ夢を奪うのが仕事なのかなぁ。それとも暴動みたいなことが起こったときに出動するの?
あ、ちなみに王子たちのその後はそれぞれエリアストで読めます。アヴィのストはわたしが2部前半いちばん苦しかった部分が最後の一言で全部救われるような内容になっていて感謝の気持ちと涙が溢れました。泣
キエルはアトラスに夢が満ちてユアン含む国中に眠る人が目を覚ますお話になってますが、ぜひアトラの指輪を初めて使えるようになった瞬間のとってもかっこ良かった自分の姿をお父上に話して聞かせてあげて欲しいな。
エンドロール「第3部へ」ってなってたので全力待機!!!
フレイグの個スト
12章クリア報酬でフレイグがもらえるので個ストが読めますが、うーんなんかやっぱりわたしはどうしてもフレイグの気持ちが分かってあげられなくてごめんね。理解はできるんだけど、共感ができないって言うか、フレイグってこんなにかしこなのに、なんであそこまで凝り固まっちゃったんだろうってとこで、躓いてしまってます。
最終的にフレイグがしたことって、正直ホープと同じじゃないですか。夢世界を奪う力で飲み込んでしまうっていう。これってとんでもないことだと思うんですよ。本当に何もかも終わりにしちゃおうって、本当に激しく湧き上がる強い感情に駆られてないとできないことだと思うんですよね。
ホープにはそれくらいの「絶望」が充分にあったと思います。愛する人たちは誰もが自分の忠告や想いには耳を傾けずひたすら夢世界を愛して守って守り抜いてその夢世界に殺されてしまったわけだから。夢世界が憎いし、怖いし、もうこれ以上怖いもの何も見たくなくて、ただ怖くない場所に行きたくて、今更何を言われてもその激情は止められなかったと思う。
たとえばね、フレイグの思想の根幹にある「母さん」が物凄く夢世界を恨んでて、アダム含む自分たち流刑の民が生きられない世界を憎んで憎んで憎み抜いて死んでしまったとかなら分かるんです。
あるいはフレイグ自身がとにかく身を引き裂くほど世界を憎んでいるのに母さんの方が世界を愛してて「みんな運命を受け入れよう」「私たちは生まれながらにして罪人なんだから」って言ってたら「そうじゃないよ母さん」ってなるの分かる。
でもそういうわけでもないんですよね。フレイグの動機ってたぶん母さんに「アダムが生きられる世界にして」って託されたこと。最初の頃は「価値のない人間の夢は奪って価値ある人へ与える世界」っていう確かに彼なりのビジョンが見えててそれに向けて動いていたし、それを支持する人たちも現れるくらい説得力もあった。いつも理路整然としてて一貫性があって、「恨み」や「憎しみ」に駆られているようにはとても見えなかったし、それってつまり、なんなら姫と同じように、フレイグなりの「光」だったり「希望」だったりを見据えてそこに向かって目を開いて進んでいたから、なはず。
どのタイミングでどの感情が激情に変わって彼は見えていたはずの何かが見えなくなり「本当に何もかも終わりになってしまう」と分かり切ってる方の道を止まらず行き切っちゃったのかが分からないんです。
あ、いやもちろんね、最後アダムのブラックホールの中で「母さんの墓石の前で憎しみに駆られてる様子のフレイグ」を見たし、「母の最期の願いを聞いて戦意喪失するフレイグ」も見ましたよ。これっていろいろ「そうじゃなかった」って気付いたみたいな描写じゃないですか。
でもねフレイグって本当に賢い人なんで、お母さんの気持ちだったりその言葉の本当の意味だったりを履き違えてるわけないんです。分からないわけがないんです。
しかも彼には5人も弟たちがいて、全力で、言葉を尽くして、何度も何度も何度も諦めずに説明してくれてたのに。
さらに腑に落ちないのが、そんなことをしでかしてしまった後ではっと我に返ったり「そうじゃなかったんだ」って気付いたりした人って、もっと衝撃を受けると思うんですよね。打ち破れた感というか。フレイグにはそれもあんまりないんですよ。ホントにすんって戦意喪失した感じ。
結果、姫たちのやり方で進めた先に「アダムが幸せに生きられる世界」が広がってたわけだけど、これに対する想いも「嬉しい」なのか「悲しい」なのか何を思ってるのかがいまいち見えない。
こうなってはもう自分の理想は実現することはできないから、これからは弟たちのために人生を捧げる、的なことを言ってるんですけど、つまり納得はいってないってことなんよな?
そういう読めない感というか、感情がうかがい知れないような人物として描きたかったのか。
追記:7.5周年記念イベCast light onでやっとフレイグのこと少し理解できたような気がします。すっごい長くて取り留めもないような感想なんですけど、別記事にめっちゃ想い綴ってみたので良かったらあわせてご覧ください。
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