第3部3章 フレアルージュ
紅鏡の国フレアルージュは夢世界において大国として存在し、豊富な資源と土壌が工業も農業もすべてを潤滑にしているため、国は豊かだが外交はあまり盛んではない。
土地が広大なので、フレアルージュ国王、第一王子ダイアをはじめ、嫡子である王子たちそれぞれに領土と城が与えられ統治を任されており、王族の血筋は「絶対」であり王家こそ「法」であるという文化が根付いている。
アポロ
フレアルージュ王族の末弟。もっとも小さな領の統治をしている。父上や兄にはない「炎を生み出す力」を持って生まれ、胸に太陽と獅子がひとつに描かれた刺青が入っている。
フレアルージュの民を心から誇りに思っていて、命に代えても守ることを使命としている。
苛烈かつ暴力的な手段を用いて民を弾圧するような父上や兄の恐怖政治を心底愚かで許せないと思っていて、彼らの差し向けた兵から「炎の力」で民を守ったりするため、王族からはバケモン扱いだけど国民からは慕われ、小さな子どもたちからもとても好かれていたりする。
バケモン扱いされようが逆に慕われようが特になんにも気にならないし「だからどうした」って感じなんだけど、そんなことよりフレアルージュ全領土を総べる王にふさわしいのは自分だっていう自負がすごい←
そんなアポロの存在を恐れた国王は、彼の心臓に特別な楔を穿ち、その「炎の力」を封じたうえで、たびたびアポロの城に攻め入って来たりする。
アポロはその楔のせいで「炎の力を使うと心臓に負担が掛かる」身体になってしまったのだけど、心配されるの大嫌いで、とにかく炎を出しまくる。(ぇ
指輪から目覚めさせてくれた姫のことは「生まれて初めて他人の救いを受けた」って興味を持ち、馬鹿だの阿保だの間抜けだの暴言吐きまくりながらも最後は「妃」として大切にしてくれる。
ぶっちゃけ3章はアポロの個スト読んだことある人にとってはひたすら先が読める内容になっちゃってたと思いますw
ざっくりまとめるとフレアルージュのメームは「怖いものを消したい」っていう悪夢を撒き散らしていて、民は「国王の弾圧」に対して、国王は「アポロの炎の力」に対して、それぞれそういう感情を抱いているはずなんだけどそれを押し殺している状態だったので、今回悪夢の力でそれが噴出してしまった、って感じです。
ミルはアポロも同じように国王を「怖いもの」として「消したい」と思っているはずだと勘違いして、アポロにも同じように悪夢を植え付けるのだけど、アポロが本当に「消したい」と願ってたのは誇り高きフレアルージュの民の心の中にある国王に対する「恐怖」だった、っていうちょっと言葉遊びみたいなオチ。
「アポロを消せ」と悪夢に取り憑かれた国王やダイア王子の手によって処刑台に掛けられたアポロが、恐怖に支配されて刑の執行に逆らえない民の心に、お得意のアポロ節で炎を灯すシーン、ストスチルにもなっててホントにめちゃくちゃかっこいいと思ったんだけど、「まぁそうなるわな」って気持ちが先に来ちゃって、素直に読めませんでした(こら
とは言えいろいろ新たに分かったことや疑問に思ったこと、印象に残ったシーンはちゃんとまとめておきたいので以下覚え書きです。
悪夢の定義
今章ちょっと難しいなって思ったのが、そもそも悪夢って「光を見るために捨てた夢」って理解でいたので、「怖いものを消したい」っていう今回の悪夢が、一体どんな光を見るために捨てられた夢なのかって考えたら、全然ピンと来なかったんですよね。
ヴォタリアの「誇れる自分になるため」に捨てられた「自由になりたい」という夢があまりにも分かりやすかったので余計に。
で、キエルが「消したい」と思うのは恐怖を乗り越えるための「夢の過程」だとか言うもんだから、どんどんワケ分かんなくなっちゃって。
ただ、この世界の「夢」って何にでも当てはまる物凄く広い意味の言葉だから、「押し殺された感情」も「捨てられた夢」と同義なのかなって解釈することにしました。
「願い」や「祈り」もその人の夢の一部なら、当然「感情」も夢の一部なんだろうしね。
「お前はどうしたい?」
今回悪夢に当てられたフレアルージュの民たちがホントに怖がってるのは国王やダイア王子の恐怖政治であって本来アポロの炎に怯えてるわけじゃ絶対ないはずなんだけど、メームがもたらす混沌と正気を保っていられない精神状態に一部の民が「アポロ様がこの国を炎で焼き払うおつもりでいらっしゃる」と噂広めちゃったり、ミルも「みんなアポロが怖いんだって」「みんなアポロを消したいんだって」みたく煽って来るので、一行も「このままじゃアポロが危ない」とか言って、右往左往しちゃう場面がある。
でも、アポロがあまりにも言葉足らずで、「その噂は間違ってない」だの「民を脅かす王は焼き尽くす」だの「人の国の話に首突っ込むな」だのしか言わないから、引くべきか助けに行くべきかどうしたらいいのか分からなくなっちゃう姫。
姫と2人きりになったアヴィが「お前はどうしたい?」って尋ねてくれる。
で、「やっぱり私はアポロを助けたい」ってなるんだけども、なんかねぇ←
いやわたしね、アヴィの「お前はどうしたい?」が大好きなんですよ。ライトの「光を見失うな」くらい好きなんです。
1部11章ではこの「どうしたい?」で「なにも諦めたくない」って気持ちに気付いたし、2部7章では「トロイメアに行って過去と向き合いたい」って気付いたし、姫にとってすっごい大事なんですアヴィのこの「どうしたい?」って。
そんな大事なものを、こんなアポロがただひたすら分かりにくい素直じゃない察して欲しいマンだったせいで使ってしまったのか、って気持ちにちょっとなっちゃったんだよねぇ(殴
金色のメーム
アポロが処刑台に上がり、その辺一帯がメームの放つ青黒いもやに包み込まれて、国王やダイア王子始めそこに居る全員が「アポロを消せ」「怖いものを消せ」「怖い怖い怖い」「お願い消えて」って錯乱状態に陥ってしまって、姫もその感情に飲まれそうになり、父上と母上が殺されたあのデジールの反乱が蘇って思わず「怖い」「消えて」って呟いちゃうんだけど、もやの中からアヴィが姫を呼ぶ声がして、「怖くない…?」「みんながいる」ってちょっと持ち直すシーン。
↑姫の夢を抱えたメームが「怖くない」って言い掛けて、ロウがおったまげる。
よく見るとそのメームだけ青黒いもやと一緒に「金色の光」も纏ってて、「もしかしたら姫の身体に夢の力が戻って来てるのかも知れない」「姫の夢がメームに影響を与えたのかも」ってナビ。
なんやかんやあってまたこのメームはミルに食べられてしまうんだけど、ミルは前回も今回も姫の夢を食べてしばらくすると身体がどろどろに溶けて苦しくて這い回って「これが人間の苦しみなのかなぁ」って言ったりしてる。
やっぱり悪夢にとって姫の夢の力って「脅威」なんだろうね。
このまま姫の夢を食べ続けてたらミルはどうにかなっちゃいそうだし、前章ロウが姫を斬れなかったのもやっぱりそのせいなんじゃないかなって思ってる。
イザークが爆イケ過ぎる件
3章序盤、フレアルージュ国王の城に招かれた一行がメームの悪夢に取り込まれそうになってるとこ助太刀に来てくれた紫雨とイザーク。
立ち絵見てびっくりしたんだけどイザークってこんな爆イケだったっけ?←
フレアルージュ国王直属の兵士たちに「アポロが王を討とうとしている」「国を滅ぼそうとしている」と噂を流されてるって知ったときは、本当は領の兵士や国民たちを森に避難させてたアポロがまんまと罪人に仕立て上げられようとしているのをどうすることもできず、みんなでちょっとどんよりしちゃう場面とかもあるんだけど、そんな時にご飯作ってくれたりもして。
処刑のシーンではそこに充満する膨大な量の悪夢をどうにかしなきゃいけなくなって、キエルと一緒に奪う力を使ってくれるんだけど、2人が並んで立って身体から黒いもやを湧き上がらせて、それがそれぞれ黒鳥と蠍の姿に変わっていくっていう描写、想像したらめちゃくちゃにかっこよかったし(厨二病
極め付けにロウの身体に蠍を仕込んでおいて、彼らのアジトが「青黒いもやだらけの曖昧な場所」であり、「一ヶ所だけ色がついた場所があってそこにミルが居た」って言う情報まで仕入れてくれる。
イザークってみんなにいじられてたじたじになりながら全力ツッコミしてるときがいちばん輝く子だと思ってたのに、普通に頼もしくてかっこよくて優しくて非の打ち所ないイケメンだったんか。めっちゃときめいてしまったわw
えっこのイザークの立ち絵ってメイン進んだらどっかでスタイルでもらえたりします?
欲し過ぎるんだけど!!!!←
フレ兄が用意周到過ぎる件
フレアルージュでメームが目撃されたと知った時から、この国では政治に対する「恐怖」に関わる悪夢が民を惑わせるであろうこと、恐怖政治を乗り越えた経験のある紫雨が何か活路を見出すであろうこと、イザークの奪う力が役に立つであろうこと、最終的に末弟のアポロが己の身体を顧みず炎の力で国を救いに導くであろうこと、そのすべてを先読みしていたフレイグが、「紫雨とイザークを現場に向かわせること」や「アポロの治療のためにルベルを送り込むこと」、「蠍を使ってアジトの様子を探るようにイザークに指示を出すこと」などすべて前もって段取りをつけていたことに驚きを隠せないロイエ。
ロイエは「君の考えをもっと聞かせておくれ」って完全にフレ兄のこと大好きになってますw
そしてフレ兄のおNEWスタイルも欲し過ぎる←
ちなみにフレ兄「姫の夢を抱えたメーム」の放つ青黒いもやは全て「姫の捨てた夢」になってるはずだって見解みたい。
言われてみれば「自由になりたい」も「怖いものを消したい」もちゃんと姫の過去がフラッシュバックされてますもんね。
てことはこの先やっぱりホープお兄ちゃん絡みの悪夢が来てしまうのか。果たしてわたしは耐えられるのか(しらん
レイの懐が深過ぎる件
3章でわたしを泣かせに掛かってきたのはこの人です。竜人族のレイ。
領の兵士と国民たちを安全な場所に逃がした後、国中に飛び回っているメームをその炎の力で滅したアポロは、ミルとロウに言われるがまま悪夢を植え付けられその場を去ってしまうんですけど、彼を追って炎の中に飛び込もうとした姫をレイは青い顔して引き留めます。
竜人族の長として碧空の島で暮らしていた頃、レイは実の妹や弟のように可愛がっていた「モニカ」と「グイド」という竜人の子どもたちに頼まれて地上に花を摘みに行ってたんだけど、その間に島に攻め入って来た人間が街中をめちゃくちゃにしてしまって、いつもレイが親友の「フィオ」と共に「みんなの幸せがずっと続きますように」ってお祈りしてた聖堂も帰ったら火を放たれてめちゃくちゃに燃えてて、モニカもグイドもフィオもみんな焼け死んでて、他のみんなも全員無残に殺されてたっていう、実はとてつもなく壮絶な過去があるんです彼。
それでこうやって炎に過剰反応するのだけど、なんか痛々しくて見ていられないんだよ。涙
正直わたしレイは人間を死ぬほど恨んで復讐を企てたり同じように大切なものに火を放ったりしたっていいくらいひどい目に遭ってると思ってて、でもそんなことせずただ独り「天蒼石」に死んだみんなの姿を幻影として映し出してもらってただけなのに、これが竜の涙の原因だったからって夢世界に災いをもたらした者扱いされて、フレイグと同じように「率先して世界のために尽くすこと」を約束させられてる意味が分からないんだよね。
レイ自身が竜の涙の件を反省して償うつもりでいるって言うから言わなかったけど、まじで悪いのはこっちだしレイは何も償う必要ないと思ってて。
まぁそれは一旦置いといて、レイがね、フレアルージュに来て直ぐ、横暴で横柄な国王やダイア王子の行動や発言を「所詮これが人間だよな」って冷めた目で見てたんですよ。
なんだけど、最後アポロの呼びかけによって目を覚ました民が再び街に灯りを灯す様子を目に焼き付けたいって言って、フレアルージュをぐるっと一周してから国を発つんです。
なんでそんな心境でいられるのって。涙
もしかして人間にちゃんと好意的に接してもらった過去もあるのかなぁ。
廻天には龍を祀る祠もあったしね。
2023年4月18日追記:ごめん無関係らしいw
ロウの個スト
超絶ビックリなんですけど、今章クリアで報酬としてロウが手に入ります(なぜ
ロウはミルがどろり溶けていなくなった後もしばらくひとりフレアルージュに残ってて、人間観察したり小さい女の子からお花もらったりしてる←
ミルが「人間になりたい」って言うから自分もそうなりたいと思っているし「ミルの願いは自分の願い」って言うんだけど、ホントは人間が大嫌いで人間になんてなりたくないし、ずっとミルとふたりで過ごしていたいって思ってるみたいですね。
本編でも、「アポロが処刑されてしまったら彼の夢を集めて僕がアポロを作ってあげようかな」ってミルが言うとロウが凄く悲しそうな顔をするっていうシーンがあるんだけど、やっぱりロウもミルが夢を集めて作ってくれた存在みたいで「自分がいれば充分じゃないのか」って想いがあるらしい。
割愛したけど今回フレアルージュ中の大勢の民による「アポロを死なせたくない」っていう強い願いに呼ばれてシュテルも来てくれるんだけど、その中には「ロウの声も混ざってた」って。
アポロが死んで自分と同じような存在になったらミルの関心が自分には向かなくなってしまうかもって思ったのかもね。
「姫さえ現れなければミルは人間になりたいなんて言い出さなかった」「ずっと2人だったのに」って言って、もう一度姫に襲い掛かって首を斬ろうとするんだけど、やっぱり何か力が働いてどうしてもそれができないロウ。
姫は「あなたはミルが思っていることと違うことを思ったっていい」って言うんだけど、ロウは「ミルが自分のすべてだ」と言って彼の元に帰ってしまいました。
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