第3部1章 アンキュラ
海賊の国アンキュラで開催される「海始祭」というお祭りは、キエルとロッソが主催を務め、「アトラスが初めて他国との交流を持つ」という、夢世界の歴史に残るような催しだった。
これに招かれた姫は、潮の香りと軽快な音楽、賑やかな人の声やみんなの笑顔に囲まれて、穏やかで幸せなひと時を過ごしていた。
ナビやキエルと共に街の屋台や出店を回った後、声を掛けて来たロッソとダグラスに誘われ船へと乗り込み、今度は海の上へ。
「海の祭りと言えばこれ」と言うことで、船を並べて渡り板を掛け、全船員と海中に暮らす王子たちも交え、飲めや歌えや、あわや乱闘の大騒ぎに、「もうめちゃくちゃだ」と言いながらとても楽しそうな様子のキエル。かわいい。
かつてはその命を狙われていたこともある海の中に住む種族にとって、陸に住む人間は「怖いもの」という意識も根深く、そのうえ「夢を奪う力」を持ったキエルは自分が受け入れてもらえるのかと気を揉んでいたが、分け隔てない彼らの歓迎の言葉に胸を打たれる一幕も。
コライユ
珊瑚の国コラリアの王子。美しい珊瑚と魚たちを守るという使命を持った心のキレイな男の子。
出会った頃は「珊瑚がより色鮮やかになる」みたいな怪しい薬を撒いて魚を弱らせて売り捌こうとする悪徳訪問販売男を華麗に撃退したりしてましたねw
人間が海に入るためには海中で暮らす種族の子が手を繋いだりおでこやほっぺにキスしたりして「水の中でも息ができる状態」にしないといけないんですけど、コライユくんはやたらおキッスを求めるキス魔です←
サラサ
人魚の国ローレライの王子。人魚。
過去に人魚を誘拐して見世物として売り渡す人間たちが居たことからローレライの人魚たちはみんな人間を怖がっているが、ある日お母さんやお姉ちゃんの言いつけを破って海上に顔を出したとき、船の上からダグラスに声を掛けられ、以来自分を見付けては「困ったことはないか」と気にかけてくれる様子に、「人間は怖くないかも」と思い始める。
なんと太陽ストだと海底の魔女に頼んで姫のために人間になっちゃったりする。
不吉な夢
海の男祭りを終え、「明日はまたお祭り」だと言うことで、一行はダグラスのセントガブリエル号で一泊、ロッソはバレナロッサ号で「夜の海の見回り」に行くことに。
ロッソと別れてすぐに眠りに就いたはずの姫だったが、ある不吉な夢を見てうなされて起き、目が冴えてしまう。
夢の中に登場した青年は、明らかに意思を持って姫に話し掛けてきていて、「ある日突然夢世界に連れて来られて、壮絶な運命を背負わされ、元いた世界に帰りたいという夢を捨てなければならなかったとき、姫はどんな気持ちだったのか」と尋ねてくる。
これまでに数えきれないほどたくさんの夢を叶えて来た姫は、一方で「元いた世界に戻りたい」「エミールを助けたい」「カーサを救いたい」「ホープお兄ちゃんを失いたくない」と、たくさんの夢を捨てて来なければならなかった。
そうして捨てられた夢は闇になり、闇は光が強くなるほどに深く濃く、やがて「悪夢」と呼ばれるようになると。
そんな不気味な夢に顔色が優れない姫を「外の空気を吸いに行こう」と甲板に連れ出すナビ。しかし、外に出るとひどい雨と風だったので、すぐに戻ることに。
↑ナビのもふもふがくちゃくちゃにw
ロウ
姫とナビが甲板を降りて部屋へ戻ろうとすると、突然「ロウ」と名乗る男が現れそこに立ち塞がった。
ロウは姫に「お前の夢を貰い受ける」と宣告するや否や、素早く剣を構え襲い掛かって来るが、駆け付けたキエルとダグラスがこれに応戦、しばらく互角の戦いが続く。
キエルはこういうとき「短剣」で戦うんですね。ユメクイで戦ったらすぐに勝てるんだろうけど、「ユメクイは戦うためのものじゃないから」ってことらしいです。
しかし、戦う内にキエルとダグラスはロウの「ある違和感」に気が付く。
息ひとつ切らさず、何度武器を弾き飛ばしても、懐から新たな剣を抜き、再び襲い掛かって来るロウ。
そして飛ばされたロウの剣は、彼の手を離れると直ぐに、青黒いもやに包まれながら消えてしまう。
この様子を見ていたナビが、ロウの身体からはとても強い「夢の力」を感じると言い出す。
ただしそれは姫の夢の力ともキエルの夢の力とも違う、「初めて感じる夢の力」だと。
一瞬の隙を突かれ、ロウが姫に剣を振り下ろそうと間合いを詰めるのを、ダグラスがついにロウの腕を斬り落とすことで防ぐが、しかし斬られた腕からもすぐに新しい腕が生え、剣が生え、姫はその喉を貫かれそうになる。
そこにいる誰もがすべてを諦めた瞬間、ロウの剣先は姫に触れる寸前で止まり、「時間が来た」と呟いたロウは突然ぐにゃりと溶け出し、やがて跡形もなく消えてしまった。
ロウは恐らく「夢そのものでできた何か」だったのだろうと推測される。
青黒い夢の力
一行が息をつく間もなく、今度はコライユが海から船に乗り込んで来て、「バレナロッサがおかしい」「岬に向かって物凄いスピードで進んでる」「声を掛けても止まろうとしない」と訴える。
急いで確認しに船を走らせると、バレナロッサは青黒いもやに覆われながら岸壁に向かい一直線に突っ込んでいこうとしているまさにその時だった。
しかも、その場所はロッソが昔事故に遭い、多くの仲間たちを失った岬だと言う。
このままでは衝突して船が大破してしまう、操縦する人を止めなければということで、船から船へ大砲でワイヤーを繋げ、フックを使ってバレナロッサに飛び移る一行。
するとそこには嬉々として舵を取り、「今日こそあいつらの元に行く」「またあの頃に戻れる」と喜色満面に溢れるロッソの姿が。
慌てて止めようとすると、身体から青黒いもやを噴出させ、「俺の夢を邪魔するな」と襲い掛かって来るロッソ。
実は一行がロウと対峙しているまさにその時、ロッソは突然目の前に現れたミルによって、その身体にこの青黒いもやを「お前が捨てた夢だ」と言って植え付けられていたんですね。
海の王子たちの声掛けで、海中の生き物たちが力を合わせ、なんとか船の進路を変えることができたものの、ロッソの青黒い身体は一向に元に戻らない。
しかし、彼自身も自分に植え付けられた青黒いもやと戦っているようで、時折正気に戻って「自分は何をしてるんだ」「あいつらの大切な場所を壊そうとするなんて」と舵を切ろうとしたり、「いやあいつらの元に帰るんだ」と再び突っ込もうとしたり、苦しそうに、青黒い涙を流しながら、必死に葛藤してる様子。
恐らくロッソをおかしくさせているであろう青黒いもやの正体は「誰かの夢の力」であり、「キエルがこれを奪うことで元に戻せる可能性があるかも知れない」と言うナビ。
それを聞いて、「万が一ロッソに何かあったら自分が夢を与えるから大丈夫」だとキエルを促す姫。
キエルが指輪を握り締め祈ると、彼の身体から黒いものが膨れ上がり、黒鳥に姿を変え、大きな翼を広げてロッソへと襲い掛かって、青黒いもやを次々に飲み込んでいった。上手くいっている。
しかし、再び突然現れたロウが、キエルの黒鳥に向かい、「青黒いもやを纏わせた剣」を何本も突き刺すと、黒鳥は「キエルの意識を離れ」、やがて膨らんだ青黒い何かに取り込まれるようにしてその色を変えていく。
青黒く染まってしまったユメクイは、目にも留まらぬ速さで姫に襲い掛かると、姫の夢をごっそりと奪って、ロウの元へ。
姫の夢だけは奪わせまいと、王子たちは慌ててユメクイを斬り払うが、散らばった姫の夢は持ち主の身体へは戻らず、「青黒いもやの欠片」になって、空へと飛び散ってしまう。
なんと、夢王の夢の力はその身体を離れると夢王自身の身体ではなく世界維持のために各国に優先して満ちるようにできているんだそうです。
遅れて登場したミルは、「姫の夢を奪い自分たちのものにする」という目的こそ果たしそびれたが、「楽しかった」と言い残し、ロウと共に姿を消してしまった。
だいぶとんでもないことが次から次へと起こってますよねぇ…←
先ず「青黒いもや」とか「青黒い夢」ってのは「悪夢」なんでしょう。ミルが姫の夢で説明してた通り、「光を見続けるために諦めたり切り捨てたりしたもの」が闇をより濃くしたものが「悪夢」だと。
で、ミルもロウもたぶん夢世界中の悪夢がなんらかの理由で寄せ集まって人型になったもの、なんだろうね。
問題は、この夢世界の中枢である「トロイ」と「アトラ」よりも「悪夢」の方が「力が強い」ってとこです。そんなことがあるのかね。
だってキエルの生み出す黒鳥は夢世界の神の如き存在アトラの思念が生んだ力で、トロイの力と唯一対を成すものですよ。
トロイの力で与えて、アトラの力で奪うのが夢世界、それが揺るがされるってもうこれって夢世界の根幹に関わりません?
黒鳥が青黒いユメクイに変わる描写は、ロウが「悪夢の力」を使ってキエルの黒鳥をキエルから切り離しさらに「悪夢の力を持ったユメクイ」に変容させたってことだもんね?
あ、ちなみに1部2部ともにユメクイって「黒紫色」だったし奪う力の「黒いもや」ってのもエフェクトだと紫色だったんですよね。なので私の中ではキエルの黒いもやとか黒鳥って頭の中では「漆黒」よりも「黒紫」で再生されてます(どうでもいい
てか、思い出したんだけど2部7章でキエルとルーファスがユメクイを「生み出した人の意識から切り離す」って話を詳しくしていたような気がするな。アダムの夢をキエルが取り込んだりルーファスが取り込んだりするあのくだりで。
結局1部序盤各地で戦ってたホープのユメクイはなんで「ホープの思い通りに動いてたわけじゃなかった」のかって、ホープが自分の生み出したユメクイと自分から「意識を切り離してたからだったんだな」って思った記憶があるんだよ。文章に残してなかったせいで忘れちまったけど←
時間があったらまた読み返してみよう…
そして、わたしはそのとき彼らがユメクイのことを「夢」っていっしょくたに呼ぶのを「要は奪う力が夢を抱えてる状態のものってことだよね」って解釈してたけど、これも違うね。
文字通り「夢」なんだ。
正直わたしここまで「夢」の理解が甘くてなんかこうわたしたちと同じ仕組みで出来上がってる人間がその器に入れてる特別な何か、みたいな解釈でいたんだけど、そもそも夢世界の人は夢で出来ていて夢は細胞くらいに思ってた方がしっくりくるのかも。
「ユメクイ」も本来はそれを生み出した人の細胞の一部であり夢の一部だから、キエルの黒鳥はキエルの夢とイコールなんだよね。
アダムの時も、アダムには奪う力やユメクイとはまた別に夢を受け取る器があってその器がクソデカなんだって思ってたけど、そうじゃなくて、アダムのユメクイはアダムの夢そのものだから、その力の大きさに比例して夢の補給が必要だったってことなのね。
極端な話、メディが描いた絵やルークが奏でる音楽も彼らの夢の一部だし、イザークが作る料理もイザークの夢の力によるものってことなんだわ。つまり奪う力は繊細に使えば絵画や料理からも微量の夢を奪うことができるってこと。たぶんね←
メーム
今章、ミルとロウが「愉しいとか分からないけど愉しそうにしてたら自分たちも人間に見えるじゃん」って会話してるようなシーンがあります。
彼らには人間のような「感情がない」、でも「できる限り自分たちを人間に見せようとしてる」ってことだよね。
それ以外にも、ミルの発言の節々には「人間を羨んでる」「人間の仲間に入りたがってる」と思わせるようなニュアンスが結構含まれてる。
そして、ミルの生み出した「メーム」といういわゆる彼らの「力の塊」のようなものも、「ユメクイっていいなぁ」「こうしたらユメクイに見えるかなぁ」って、ミルがキエルや彼の奪う力を羨んで真似して生成する瞬間が描かれていました。
恐らく先の戦いで「姫の夢を喰らったまま」「キエルの意識から切り離されて」「世界中に飛び散ってしまった」「奪う力を取り込んだ悪夢」も、この「メーム」の姿をしていると思われる。
夢を失った姫
船の先端で力が抜けて倒れ、海に転落してしまった姫は、海底の国アクアリアの王子オリオンの部屋で目を覚ました。
あ、ちなみにオリオンさんの個ストはとんでもないですよ。
先に紹介したコライユくんの珊瑚の国は比較的海の浅いところにあるんですけど、アクアリアはめちゃくちゃ深いところにあって、深いところに行けば行くほど人間は「海底人からのキス」が必要になるって設定なので、それはそれは深いおキッスと、さらにその先も(自重
一連の出来事により「身体の中が空洞のように」なるまで夢の力を奪われてしまった姫は、祈ろうにも「与える力」が湧いて来ず、途方に暮れてしまう。
「夢が足りず夢を生み出せない」ときの心と体の辛さを誰よりも理解しているナビは、世界維持のために夢王の身体には夢が溜まりにくいこと、故に自力で気力と体力を回復させるしかないことなどを説明し、今は何も考えずに眠るようにと頭を撫でてくれます。
あの頃のライトはこれに加えて指輪さえなかったんだもんね。ホントすごいよアンタは…
しかし、もしかしたらこうして休んでいる間にも世界中をメームが襲っているかも知れない、夢が奪われているかも知れない、せっかくアトラスとトルークビルが世界に認められたこのタイミングで、自分にはやるべきことがたくさんあるのに、「私には祈ることしかできないのに」って泣いてしまう姫。
ここつられて泣きました。涙
今まで姫の「諦めない」とか「逃げない」発言に勇気付けられて涙出ることはありましたが、姫の焦りとか不安とかやるせなさとか悔しさとかそういう悲しい感情につられて泣いたのって今回が初めてかも知れない。と言うか、そもそも姫の夢が奪われてしまうことって今までになかったんじゃないか。
そう言えばわたし2部12章で「与える力」と「奪う力」について正しくは「生み出す力」と「運搬する力」だよねとか言ってたけど、やっぱりそんなことなかったわ。
キエルやトルークビルの兄弟たちは誰かから夢の力を吸い取って貯めておくことはできるけど、それを誰かに与えることはできてなかった。アダムに渡せてたのはアダムに奪う力があったからだし、それができないときは夢をたらふく喰らった状態のユメクイを姫にはいどうぞして「だれそれに与えてください」ってお願いしてましたね。
アダムがフレイグを生き返らせようってしたときも、「フレイグ兄さんはいま奪う力が使えないから姫の力が必要なんだけど」ってちゃんと言ってました。
つまり姫は誰からも夢を分けてもらうことができないし、周りのみんなもどれだけ姫に夢を与えてあげたいって思ってもそれができないんだよね。
もしかしたら自分のユメクイで自分の夢を吸い出せる「奪う力」と同じように使えば「自分で自分に向かって祈る」ってこともできるんだろうけど、たとえいまどれだけみんなが「姫に夢を」って祈って膨大な夢が姫のために掻き集められたとて、最終姫自身に「自分のために祈る力」が残ってないんじゃ意味ないもんな。
決意
無力感と孤独感に押し潰されそうになって、思わずある人の名前を呼んでしまいそうになる姫。
でも、「祈ること」ができない今、彼を助けることができない自分は「きっと仲間たちを危険な目に遭わせてしまうだろう」「そんなことしたくない」と大きく首を振って、「独りでメームを探しに行く旅に出る」ことを決意し、前を向いて立ち上がる。
旅の始まり
アクアリアでしばらく休養を取り、「体調が少し回復した」という姫は、オリオンに連れられ海上へと戻り、船に乗ってアンキュラの街に帰って来た。
そして、ダグラスやロッソ、キエルやナビに向き直って、「こんな身体の状態でみんなには心配をかけるかも知れないけど、自分はメームを止めに旅に出る」とその決意を告白する。
すると背後から「そう言うと思った」って声がして、振り返ると、あの赤毛の彼が。涙
大剣を地面に置いて、姫の前に片膝をついて、「アルストリアのアヴィ、我が剣のすべてをもって姫の御身を守ると誓う」「どうか旅の同行を許可していただきたい」って言うと、顔を上げて真っ直ぐに姫を見る。
ここBGMもやばくて、ボイスないのにちゃんと全部アヴィの声で脳内再生されて、なぜかわたしここからタップできなくて30秒くらい止まって泣いてたからねw
どういう感情なのか分からないけど、たぶんかっこよ過ぎて泣けてきたんだと思います(ちがう
姫を傍で守りたいのは「姫に力があるから」ではなく「姫が姫だから」だと言うアヴィ。ナビやキエルも賛同してくれる。
しかも、今回はフレイグの計らいでレイも同行してくれることに。
ドラゴンになったら姫だけじゃなくアヴィもナビもキエルもみんなまとめて背中に乗せて飛べるんだね。わたしが想像してたよりだいぶ大きいみたいです。
そして例の蜘蛛型トランシーバーからはルーファスの声も。確かに各地でメームが夢を奪っているような報告は入っているが、レコルドが「アトラスやトルークビルは今回の騒動とは無関係であること」を既に世界中に発信してくれてるみたいです。良かった。
何が始まる?
今回の旅は、世界中に散らばってしまったメームを探し、姫の身体に夢を取り戻しながら、ミルとロウを追う旅になる、のかな。
ミルとロウの目的はあくまで「姫の夢を奪うこと」であって、今回こうやって世界中に散らばってしまったことは「想定外」だったような雰囲気。
ただし本当に姫の夢を必要としているのはミルの方で、ロウは「ミルが言うなら」「ミルのために」って動いている感じ。
奪った姫の夢で何をしようとしているのかはまだ分かりませんが、もしかしたらロウはミルが悪夢から生み出した人形でミルだけが「本物の悪夢の塊」なのかも知れないですね。
2人の関係性やドラマも今後明らかになるんじゃないでしょうか。
まぁこういうたったひとりの主君のことしか見えてないようなキャラは大抵マリスみたいに「なんで自分のことを見てくださらないんだ」「こんなに尽くしてるのに」っていつか絶対なりますから←
ミルとロウが使う「悪夢を人に植え付ける」能力は、その「効果」については正直そこまで脅威を感じません。
「光が強くなるほど悪夢の力も強くなる」って言うけど、そんなに強い光に向かってたくさんの葛藤を乗り越えて前を向いている人なら、今更「過去に捨てた夢」を見せられたところで絶対に揺さぶられないし打ち勝つことができるからです。
感覚的にはイザークの蠍と一緒かな。
精神的なダメージと言うよりは「身体の自由が利かなくなる」という物理的なダメージの方が痛い。
ただ、たとえばオフィーリアのこと完全に忘れられてるわけではないレイヴンとか、恐ろしい特殊能力を持つが故か憎しみや恨みの感情を拭い切れてない真琴とか、それでも飲まれてしまいそうな王子は何人か居るけどね。
もしかしたら悪夢は「本人」よりも「周りの人」の心にダメージを与える力なのかも。
実はわたし「捨てられた夢」と聞いていちばん最初に思い出したのこれだったんですよ↓
たとえばうちらの絶対的光導き人であるライトが、姫とホープと一緒に夢王になってあのお花畑3人で歩いてる悪夢に囚われて青黒い涙なんて流してたらわたしもうどうすることもできないもん。想像しただけで泣きそう。涙
とは言え悪夢の力の本当の脅威は「キエルの奪う力を凌駕してる」ってとこにあると思います。
最初はキエルの黒鳥がロッソから青黒い悪夢だけを奪えてたのでそれがそのまま上手くいくんならなんてことなかったんだけど、ロウが力を加えたら「奪う力が飲まれてしまう」ってことが分かったので、これはちょっと今のとこどうやって対処して行けばいいのかが分からんです。
せめて悪夢を植え付けられた本人が「強い想いと集中力」とかで振り払えるとかならいいんだけど。それこそイザークの蠍みたいに。
これまでのやり方に倣うだけでは対処ができない新しい問題が発生した、まさに夢世界が新時代に突入したってことなんでしょう。
この記事に関連する記事