夢100ゆめくろメインストーリーのネタバレ満載備忘録
夢世界を語る

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8章 コロナ

インセクターでの職人たちの暴徒化こそ未然に防ぐことができたものの、黒妖精やその使い魔によって引き起こされる暴動事件は各国各地で頻発するようになり、混乱の渦中にある夢世界。

騎士団が鎮圧に尽力しているとは言え、民の不安は日ごとに募っていくばかりという状況下で、これはいよいよ一般の人には見えていない「黒妖精というものの存在」を大的に公表すべきではないかと考え至った夢王は、シュヴァリエの元団長であり聖剣のグランドマイスターでもある騎士「オーランド」と共に、世界中の国王たちに協力を仰ぐべく、冠職人の国コロナにて「世界会談」を執り行う手筈を整えていた。
オーランドの声帯は不思議の国ワンダーメアのキャピタ王子かな?

前章「夢王様の謁見に一肌脱ぐ」なんて言ってくれてたナナシ、決して公ではないこの会談の開催を実は始めから知っていて、エマが人間のまま強い浄化の力を使い世界の端を目指すために必要な夢の力を夢王から与えてもらえるよう、交渉の機を図ってくれていたみたい。

これを快諾してくれた夢王は、「ただし黒妖精の主でもあるエマが世界会談に出席すること」、そして「夢の力を具現化できる花があしらわれた髪飾りをエマが自身の色に光らせられるようになること」をその条件として提示。

花を光らせられるようになるということは、これから夢王がエマに与える夢の力にその器が耐えられるよう彼女自身の夢の力を磨いておくことと同義であり、「すべて夢王様のご高察である」と敬意を表するナナシ。

これを受け、王族に献上する服飾品や香料の生産などに従事する「夢紡ぎ」という格式高いギルドに所属する一流マイスターたちの元で、しばらく修行をさせてもらうことになったエマ。

2週間後に開催されるという世界会談のその日までに、受け取った時点ではうんともすんとも言わない髪飾りをなんとか光らせようと奮闘します。

フォルクス

王室御用達ギルド「夢紡ぎ」のギルドマスター。慧眼と審美眼を併せ持つ輝石鑑定師。聡明でそつがなくスマートが服を着て歩いているようなハイスペ男。
宝石の国オックスの出身だと聞いて夢100キース王子を想像しめちゃくちゃに身構えていましたが別人でしたね(それはそう
決してギラギラしてるわけじゃないのに時めっちゃ雄になるので改めて声帯が置鮎さんだったことに気付かされます←

急遽開催が決まった世界会談に向け身支度を整えたい各国の王族たちから膨大な依頼が舞い込みてんてこまいな夢紡ぎ、仕事に追われる職人たちになんとか掛け合って「世界会談にふさわしい装い」をコーディネートしてもらうことが「エマの夢の力を磨く修行になる」と言うフォルクス。
彼らの仕事は「王族を王族たらしめる」ものであり、ふさわしい装いは自分が何者かを言葉なく主張するためにあると語ります。

メリーローズ

王室御用達ギルド「夢紡ぎ」所属マイスター。夢香師。幼少期に傷口から身体に入った毒花の種子が発芽したことで触れた人を例外なく魅了してしまうという特異体質の持ち主に。
魅了が効かないエマちゃんにびっくりおったまげるという恒常太陽スト、握った手の温もりに今にも随喜の涙がこぼれてしまいそうなあのローズの声と表情に大号泣した記憶。
読んだ当時は夢香は効くのに魅了は効かないエマこそがローズの運命の人なんじゃないかなんて思っちゃったよね。

今章ではさらっとダイジェスト版でお届けみたいになってましたが、魅了の力に影響されないエマの心からの言葉や行動に胸打たれたローズ、身に付けた人の感情を動かす力を持つ「夢香」ではなく「ただの香水」を用意することで、彼女が会談で「心のまま」「思うまま」に発言できるよう計らいました。かっこいい。

カナン

王室御用達ギルド「夢紡ぎ」所属マイスター。指輪職人。一流の感性と技術、優雅で気品溢れる所作から「マイスターの鑑」と称され「天才」とも呼ばれる一方で、風の吹くまま気の向くまま、糸の切れた凧のような生き方を好む自由人でもある。
最近やーーっと恒常カナンをお迎えできて取り敢えず分岐前までスト読んできたんですが、以前ここでわたしがあんなにも考えあぐねていた「王族の指輪」について、「グランドマイスター級の指輪職人が何年も工房に籠って作ってるもの」だって事実がとんでもなくあっさりと明かされていて、思わずぶっ倒れそうになりました。
そんな名誉な仕事の依頼を蹴ってでも、自分の命を救うために実の息子の遺作を海に投げ入れてしまったという育ての母へ、代わりになる指輪を作ってあげたいと言うカナン。泣ける。エマちゃんのほっぺをもちもちしながらがんばって欲しいです。

今章逃げ回るカナンを街で探すミニゲームみたいな謎のイベントがあってめちゃくちゃ笑いましたw
工房で指輪作りを体験するエマのひたむきな姿、働き者の手に触れてインスピレーションを得たカナンは、宝石がひとつも入っていないシンプルでいて美しいリングを打ってくれました。

アデル

王室御用達ギルド「夢紡ぎ」所属マイスター。仕立物師。食事や睡眠に充てる時間さえ惜しい限界突破の仕事人間。
生粋の職人気質でもあり、幻惑の国ロトリアでは、恐らく夢100ロルフくんのようなふりふり衣装を着ているであろう気の弱そうな王子に向かってあわや不敬罪に問われるような無礼な発言を連発、それでも「夢紡ぎのアデルに認められてこそ一人前の王族」だからと彼に服を仕立てて欲しい王子たち、夢世界における腕利き職人と王族の関係性を垣間見たような気がしました。
一見近寄りがたくもあるが、糖分を偏愛、肩にもたれうたた寝、一人漫談でスベリ倒すなど適度に隙を見せることも知っている恐ろしい男←

仕立物師としての自分の仕事に誇りとプライドを持っているアデル、それを纏うにふさわしい技量を持った人物にしか服を仕立てたくないという理由で申し出を断られ続けるエマだったが、これはアデルが「妖精女王の力を持つもの」「黒妖精たちを守り導く立場にあるべきもの」であるはずのエマが子どものように「私は彼らの主人じゃない」「仲間だ」と口にする姿を見て「強い仲間意識が彼女の視野を狭め責任から逃れるようなことがあってはならない」と案じていたためであり、最終エマの決意の言葉に引き受けることを決めてくれた際にも「王も望んでなる者ばかりではない」「しかし玉座に座れば嫌でも学び、己を律し、国のために力を尽くすのだ」なんて助言をくれました。シビれるぅ。

ドレスの生地を選ぶシーン、エマのセリフが「星の国の生地」と「祝福の国の生地」の二択になってめちゃくちゃに悩みましたが、最終的にヴィラスティンの「フェアリーコットン」で縫製してくれたみたいです。(あの悩んだ時間を返せなんて言わない

ハリエット

騎士団ギルド「シュヴァリエ」所属マイスター。弓射師。
恒常お迎えできてないのでひたすら愛の伝道に奔走するメディのような有翼人ということしか分かってないんですが、どうやら彼の出身国は審判の国アルビトロらしい。弓なのでカミロさんですね。
夢100アヴィの恒常月ストかなんかで「騎士の入団試験を受けにアルストリアに来てた他国の男」みたいなの出て来ましたが、グランはアヴァロンだしランヌはレコルドだしさらにアルビトロからもって、本当にいろんな国の人たちが世界中から集まってのあの騎士団だったんだなぁと改めて思いました。

エマが夢紡ぎで修行に励む間、クロウたちへの戦術稽古を依頼され、サイラスと共にコロナを訪れたハリエット。
ナナシによれば、世界の端で自分たちは「エデンと対峙することになるかも知れない」「しかし今の体術では恐らく相手にならない」ので、「騎士たちに鍛えてもらおう」ってことらしい。

ちなみにナナシがエデンに出会ったのは今から約10年ほど前、彼は赤ん坊だったエマをゲルダに預け、月渡りのマイスターたちの面倒を見る傍らで、今の自分たちと同じように「世界の端を探す旅」をしている最中だったそう。
その頃すでにタニアは弱ってて、このままではエデンやエマに危険が及ぶかもってことでふたりを浄化の光の外に「追い出した」のだとか。

結局世界の端を見付けて思念樹に行くと言うエデンは、「然るべきタイミングで使って欲しい」と秘密箱も鍵も手紙も全部まとめてナナシに託していたみたいですね。
ナナシの考えはいまいち読めないけど、別れ際エデンに「世界が壊れたら悪い」と言われたことで「彼が何をするか分からない」「対峙することになるかも」って考えているのかな。

うーんもしかしたらエデンが世界かタニアかの二択を迫られてタニアを選んでしまうような展開もあるのかも知れないけど、なんかさ赤ちゃんのエマを預けて直ぐ思念樹探しの旅に出てたんだとして、めっちゃタニアを助けたい一心のはずだけど、たぶん数年後にはクロウを見捨てられなくて、さらにその数年後にはイツキも見捨てられなくて、きっとナナシと出会った後にもノアに声を掛けたり、グランにもルージュにもって考えたらやっぱり彼はただ自分のしたいこと優先するマンなんじゃなく情に厚いし本来みんなまとめて救いたい守りたいみたいな性格の持ち主なんじゃないかな。
もちろん浄化の力を使えないエデンがそこに辿り着ける道って言ったらやっぱりテスタ周辺の人物に接触はしてるんだろうけども。

↑これもどうせ匂わせなんじゃないかって斜に構え始めてるわたしがいるよw

ベラノーラ

今章たびたびエマの前に現れては鍵の中の黒妖精たちの絶望を煽りエマを連れ去ろうとしていた黒妖精。
彼は人間の絶望によって黒く染まってしまった「元妖精」ではなく、胡蝶の開発者が黒妖精の瘴気から生み出した「人工黒妖精」であり、序盤から「人間を壊すことが自分たちの使命だ」ってひたすらそればかりなので、改めて黒妖精の瘴気の成分って人間への恨み憎しみしかないし、それを凝縮して形にしたらこんな戦いをプログラムされた戦闘ロボットみたいになっちゃうんだなって思ったよ←

「これが本来の黒妖精の姿」だと言ってナヴィを人質に取り絶望を煽って人間を襲わせようとするベラノーラに、「ナヴィはそれを望んでいない」「あなたを鍵に繋いでこんなことをやめさせる」と宣言するエマ。
しかし、「こんな強大な瘴気に浄化の力を使えば主人様が人間でいられなくなる」と言う黒妖精たちが次に鍵から出て来て、「自分たちが持てる力すべてを使ってベラノーラを止める」「力を使い尽くして眠りに就く」「主人様はギルドキーパーとして夢を叶えて欲しい」と言い残し、積乱雲のように膨れ上がった瘴気の中に身を投げてしまう。

それを目の当たりにし、自らを顧みず慌てて浄化の力を放とうとするエマだったが、瘴気に当てられながらも「なんとか正気を保っている」というブラトがこれを制止、見られることさえ恐れていたはずのその大きな手でエマの手を優しく握り、「彼らは今かつての自分と同じ」「光を見ようとしていない」「エマを傷付けたくないあまりに」と語り掛ける。

泣きました。涙

なんかわたし、徐にブラトの声が闇堕ちしたキエルの声みたいに聴こえるようになってきていろんな想いが駆け巡るようになっちゃってる←

だって「大切な人を傷付けたくないあまり光が見えなくなる」だなんて、もちろんブラトもそうだったけど、それってアトラもだし、ホープもだし、トルークビルの兄弟たちもみんな同じこと言われてたよね。
でもそのたびに、トロイだったり、ライトだったり、姫だったり、「光はいつも側にある」って導いてくれる「光そのもののような人」がいて、それが「夢王」だった。
黒妖精たちにとってはそれが「妖精女王」なんだっていうメッセージとして受け取ってもいいのかな。

思い返せば過去唯一「エマの浄化の力を使わず黒妖精たちの暴走を収める」ことができた5章ウッドマンの機械対決では、ヒースが「あなたたちならできる」と言って「彼らと奏でた音楽を聴かせ共に歌うこと」でそれを成し、「これが光だ」と宣する場面もありました。
「黒妖精は世界の異物ではない」「希望の存在である」と説き、分かりやすく体現することが「彼らに光を見せること」なのかも知れません。

ブラトの言葉にはっとして、「主としてみんなに光への道筋を示してあげなければならない」と決意を口にするエマ。
恐らくその決意により夢の力を強めたエマは、イツキとグラン、光の向こうに居るタニアの力も借りて、無事に姿が消えることなく浄化の力を使うことができました。

ここ、タニアがエマを光の外へ導いてくれるシーンで秘密箱を開けるためにベルベットが弾いてくれた「妖精の羽音」が流れるんですけど、わたしこのBGMもだめかも知れん泣けてしまうw
さらっと流されてしまったけど、「妖精の歌には特別な力がある」って言い伝えも今後物語が動くひとつの鍵になったりするのかなぁ。

そうしてベラノーラも一応は浄化され鍵に繋がれたような状態に。
黒く染まる前のただの妖精だったことがないのでもしかしたら浄化って効かないのではなんてよぎってしまいましたが、エマの放つ光に癒されているような描写もちゃんとありましたね。
ブラトいわくベラノーラは「未熟者」であり「実体化のコントロールさえできていない」のだそう。
言われてみれば鎖で繋がれたりぶん殴られたり抱き締められたりしてましたw
開発者を「トウサン」エマを「カアサン」と呼び、かまちょな一面も垣間見せたりする実は憎めない黒妖精だったな。

奪う力と浄化の力

ちなみにこの浄化のシーン、エマが「黒妖精たちに主として光を示すこと」を決意した瞬間に、それまで全く反応しなかった例の髪飾りが「淡い黄色と紫」に光るんですよね。

それは夢世界の始まりから世界の王座に就いていた「与える力」と「奪う力」を持つ双子の王の思念体がそれぞれに放つ光の色。
エマの身体の中に共存する「夢の力」と「浄化の力」がこの色になってるんだとしたら凄く面白いなって思う。

と言うのも、つい先日、わたしがめちゃくちゃ尊敬している考察姫でもあるフレさんと、「浄化の力ってなんなんだろうね」って話になったんですよ。
「浄化」だとか「慰め」だとかって表現されている割に、たとえば「黒い部分を取り除いて妖精に戻してやる」わけでなく、平たく言えば「二度と目覚めないように一生樹に繋いでおく」ことがその力の本体、なのにそれが「善行」のような位置付けなのが少し不思議だし、さらに言えば「黒妖精を眠らせる浄化の力」と「人間を眠らせる奪う力」に相関はないんだろうか、ってなことをそのフレさんは仰っていたわけです。

わたしはこれにめちゃくちゃ納得して、「言われてみれば浄化の力って使う人によっては脅しにもなり得るような、実は奪う力とかなり近い性質や特徴を持つものなんじゃないか」なんてことを実はぼんやりと考えていました。
ヒンメルの言う通り「今ここで力を使い果たして眠る」ことが「いつか浄化の力で眠る」のを「少し早めただけ」ってことになるんなら、本当に「黒妖精を樹に繋ぐこと」って「黒妖精の死」と同じ意味合いなんだと思うし、奪う力も本来は夢が肥大して人を蝕まないように調整するための力なのに、それを知らなかったばっかりにたくさんの人が二度と目覚めることのない眠りに就いてしまってた。

浄化の力も本来は黒妖精を眠らせるための力ではない、違う使い方をすれば本当に黒い部分を取り除き彼らを妖精に戻してやれる力、なのだとしたら、「忘れじの黒い妖精」「黒妖精を決して忘れない」というこの物語のタイトルの本当の意味は、「かつて黒くなったことがある妖精もすべて元の姿に戻れる世界になりますよ」ってことなのかも知れないよな、なんて(すべて妄想です

あるいはこれ、妖精たちは「人間の夢」を糧に生きる存在であり、「エマの夢は多くの黒妖精たちの光」であるが故、与える力のトロイと同じ色をしてる、ということを示唆する描写だったのかも。

いずれにしても、人間にとっての「与える力」と「奪う力」、黒妖精にとっての「夢の力」と「浄化の力」、これらが対になって「同じ色をしている」んだってわたしは解釈しました。

世界会談

そうして無事に髪飾りを光らせることができたエマはその足で世界会談に出席、なんやかんやあって一時退席し、そこで遅れてやって来た夢王と初めて対面するんですけど、ここ本っっ気で泣きました。
泣き過ぎてこの画面からしばらくタップできなかったです。涙

だって、だって、この髪の菱紋模様、ダイヤカットの宝石、装飾品、胸に手を当てた立ち姿、全部、全部、そのものなんだもん。涙

本当ならライトの指にもその位置にその指輪がはめられてたはずだったんだね。
成人男性の中指サイズだから姫は合う指がなくていつも首からぶら下げてるのか、なんてアホなこと考えてしまったのはさて置いて、ああ貴方たちがトロイの意志を絶やさず彼らに繋いでくださったんですね、アトラとの約束は果たされました、貴方たちが祭壇に残した夢の力でそれが成し遂げられましたよって伝えたい気持ちが溢れてしまって(限界オタク

突然鍵から出て来たナヴィに「嘘つき」呼ばわりされ、「彼は古い友人だ」「今はエマと共にいるのか」なんて寂し気に微笑んでいた夢王、恐らく過去にナヴィを黒く染めるような絶望を彼自身あるいはごく近しい人が味わうような出来事があったんだろうけど、夢100脳であれこれ妄想し過ぎるとそうじゃなかったときにとっても寂しい気持ちになるので辞めておきましょうw
きっとナビとは無関係、だけどワンチャンあの白いもふもふのぬいぐるみはこの夢王が「古い友人ナヴィ」を模すようにデザインから製造監修を務めた後世に残る超ロングセラー商品だったりするのかも知れん(ちがう

今章序盤夢王はエデンやタニアに向かって「約束を果たせるだろうか」なんて独り言つ場面も描かれていましたが、彼は黒妖精の存在をこのタイミングで公表することでそれが夢世界中から「恐ろしいもの」「災いをもたらすもの」として認知されてしまわないかその点についてとてつもなく慎重になっているように見えるので、「黒妖精やエマが偏見にさらされるような世界にはしない」ことをふたりに約束してくれているのかも知れませんね。

そんな夢王の力添えもあり、エマは世界会談の席で「黒妖精が人間にとって決して脅威だけではないこと」「人間に寄り添うこともできること」そのすべてを「あまねく伝えて欲しい」と訴えることができ、王族たちの多くは、すでに「恐れ」が広まりつつある各国の民を「正しく導こう」「正しく告達しよう」とこれに賛同しました。

アーノルド

世界会談でエマが一度退席をすることになった際、コロナの国王がまるで息子に語り掛けるかのような口調でナナシに声を掛け、名前を「アーノルド」と呼び掛ける場面がありました。
これアーノルドはコロナの第1王子くらいの解釈でいいですか?←

正直に言うと、ここで長語った「ナナシ王子説」の中にはもちろん「コロナ説」もあったんですが、わたしの中では「彼の夢花が紫色の蝶だったから」なんてかなり安直な理由だったので、ぶっちゃけ「第三候補」くらいのつもりだったんです。
個人的には割とガチでカラビナの王子であって欲しかったと言うか、本当にそうだったらめちゃくちゃに嬉しかった←
夢王とオーランドが並んでる場面でも、「これ反対の隣には絶対にカラビナの偵諜隊長がいなきゃいけないでしょ」なんて思ってしまっていたくらいです(厄介オタク

とは言え、これで王族の血筋である他のマイスターたちとアーノルドの違いは「夢を分け与えられるか否か」つまり「王族の指輪を受け継いでいる現役の王子であるか否か」なのではないかと推測することができ、「じゃぁナナシが持っているかも知れないコロナの指輪は後の世でカーライル王子が継いでるかも知れないのか」という激アツな妄想が成立するのである。(キリッ

5章終盤で「僕は特別夢の力が強い」「けど、それもいつまでのことか」なんてこぼしていたナナシ、もしかしたら彼には兄弟や婿その他次期王位を託せる誰かがいて、アーノルド王子としてではなくナナシとして生きていく道を選択する日がそのうち来る、今はそれを自分自身の中だけで決意してる、みたいな状態なのかも知れませんね。

エデンとの出会いについて語るシーンでは過去に「事情があって諸国を巡っていた」らしいことも明らかになりましたが、これが自分探しの旅なんだとしたら少なくとも10年は前から「ナナシ」でいるために動いていたのかも。

胡蝶の開発者ルシア

グレイシティでの一件以来連絡がつかず行方も分からなくなってしまっていたエストの居場所を探るうち、「夢の力を使った医療に詳しい闇医師」であるはずのルシアが「黒妖精の瘴気を物質化する研究機関の最高位」であり「胡蝶の開発者」でもあったこと、さらに「エストは今ルシアの元で行動を共にしている」であろうことを突き止めたマギアゼミナールのマイスターたち。

エストの部屋に残されていたルシアの研究資料には、黒妖精の瘴気を用い「人間の身体に巡る夢の力を意図的に抑える」ことで「身体の成長や老化を遅らせる」というような実験の形跡も残されていた。

この実験をルシアが自身の身体にも施しているとするならば、「奴はかなりのじいさんなのかも」と推測するシオン。
確かに7章でのエストとのやり取りでは何度読み直しても「じゃぁルシアって150年前生きてたの?」って聞き返したくなるような返答をしてましたよね。

ルシアとテスタがふたり「マシンは完成した」「計画を開始してもいい」などと密会してるシーンでは、ルシアの寿命なんぞ「テスタやミラーに比べればセミのようなもんだ」なんて談笑もありましたが、200歳とか300歳とかそんな人たちにとったら一体何がセミで何が鶴で亀なのかなんてもう分かりません←

どうやら「テスタが死んじゃったらルシアも死んじゃう」「俺たちは一心同体」みたいなことのようなので、ルシアの身体の夢の力の巡りを抑制しているのが恐らくテスタの力ってことなんでしょう。
緑川さん大渋滞でちょっと話入ってこなかったw

もしかしたら妻や息子を失ったそういう心の傷によって彼は「不老不死の実験」のような天をも恐れぬ行為に駆り立てられているのかも知れませんが、「人間を黒妖精に変容させることができるかどうか」なんて探求心からノアの弱みに付け込み「黒い粉を直接身体に植え付けたい」と持ち掛けているようなところを見ると、ちょっともう戻ることができない域に達しちゃってるのかなとも思います。

こうなるとクロウの故郷ローグの村を襲った謎の感染病が恐らくルシアのしわざだし、彼がクロウを「幸福の子羊くん」って呼ぶのは「あの実験体はみんな死んじゃったし君はたまたま寮に入ってて幸福だったね」「うんそれな」みたいな意味が込められているかのように聞こえてめちゃ怖い。

今章ラストでは前章ノアが意識を失う直前「胡蝶はもしかしたらクロウを、」と言いかけたことについてルージュが「嫌な予感がする」なんて独り言をこぼすカットが入りますが、実は胡蝶はその計画にクロウも組み込もうと動いてて、それがルシアからすれば「幸福の子羊」であり、傍観者からすれば「哀れな子羊」であるような何か、なのかも知れませんね。
7章終盤テスタはクロウを「取り払う」なんて言ってましたが、もしかしたら現時点でルシアとテスタの最終目標は絶妙に噛み合ってないのかも。

ちなみにこの「不老の実験」について話を聞いたイツキが「長寿種の自分も仲間と共に歳を重ねることができるようになるのでは」と心乱され、しかし結局ハリエットやエマの言葉に迷いを吹っ切る、みたいなシーンもあるんですが、天狐になったイツキがバリ強くてびっくりしました。
もしかして夢100伊呂具の王子たちもバランス取るために手加減してるだけで本当は月覚醒がぶっちぎりに強いんじゃ(いいえ

エストには禁術の後遺症で余命があるし、でも「長生きして欲しい」っていうルネとの約束があるから、「もしかして不老を手にするためについて行っちゃってるのか」と思わせつつ、ちゃんとルシアのサイコパスみを見抜いててそうはならないって展開であって欲しい。
と言うか、もしかしたら不老の研究を自分の魔法術と掛け合わせて応用して後遺症を取り除くつもりでいるのかも知れないよなとか(淡い期待

詩春

今章クリアで報酬として手に入るマイスター「シハル」の出生についても本編で少しだけ触れられてました。

彼は魔法科学の国ダテンの王族の血筋であり、王家の中には「ごく稀に」目が合った人の身体の自由を奪う「金色の瞳」を持つ子どもが生まれてくることがあるんだそう。
ダテンの元王子たちは「真琴」とか「澄快」とかって名前が漢字なんですが、シハルにもちゃんと「詩春」っていう漢字表記がありました。

初めてシハルが登場した前章、金色の瞳を持ってる時点でダテンの真琴くんはよぎっていましたが、きっと彼はまだ真琴くんのような「腕ボキボキィ」とか「脚メキメキィ」みたいなことはやったことないんだろうなってなぜか勝手に思い込んでいたわたし、「身体をねじ切る」というよっぽど生しい描写が出て来てちょっと衝撃だったし、なんだか胸が痛くなりました。

幼い頃、金色の瞳の発現により抹殺されることになっていたシハルは、これを憐れんだ遠戚の人間により遠い地の養父に預けられ、しばらくの間静かに平和に暮らしていたものの、嗅ぎつけたダテンの兵士たちに襲撃され殺されかけた養父、その光景を目の当たりにした瞬間「左目がただれるように熱くなり」、記憶が飛び、気が付いたら身体のねじ切れた兵士たちが転がっていたのだそう。

自分を「悪魔の子」だと言い塞ぎ込んでいたシハルに、「悪魔なんかじゃない」「でもその瞳の力を使ってはいけない」と言い聞かせていた養父、その約束を破ってしまったことで「自分は本当に悪魔になってしまった」という想いをさらに頑なにしたシハルは、「生まれ変わったら人間になりたい」「だから美しい人間の姿を目に焼き付けておきたい」ってことでこのような仕上がりになっているらしい。

真琴くんの方は父上や母上や王家をおう殺されたことへの「復讐」の方に振れてしまってたけど、彼も憎しみに駆られて力を使う時はかつてのシハルのように、「どうやって目を合わせたのかも分からない」くらいに正気を失っていて、目は「焼けただれるように」痛くて、ただ「人の身体がねじ切れる音だけを聞いてる」状態だったんだろう。そりゃ時に狂気的にもなるし、心が壊れそうにもなるよな…

シハルの個ストもめちゃくちゃ読みたいけど、ピース集めがなぁ←

インテルの計画

財力と権力を行使し、ほとんど死線を彷徨っているシハルの養父を救護しながら、ダテンからの「シハル捜索依頼」を揉み消し、養父を人質に取る形で彼を配下に置くことで、その瞳の力を我が物のように乱用していたインテル。

インテルとシハルの歪んだ主従関係に気付いていたリュコスは、闇夜の2人を連れダテンを訪問、シハルの養父は生存を偽られ既にこの世にはいないことを突き止めこれを追及すると、偽装工作を暴かれたインテルは開き直ったかのようにその計画を語り始める。

そもそも胡蝶は暴れる黒妖精をエマの力によって服従させ、「人間が妖精を淘汰する世界」を「妖精が人間を淘汰する世界」へと造り変えることで「人間たちへの復讐」を果たそうとしているのだと言い、とにかくいつでもどこでも「強者でいたい」インテルはこの造り変えられた世界でも頂点に君臨するため、今は胡蝶に寝返りテスタやルシアと共に行動し目的を同じくしている、らしい。

この辺に関してはいろいろと読みが外れて面白いなってなりました。正直わたしは胡蝶の開発者もまさかルシアだなんて思ってなかったし、インテルも横暴だけどなんだかんだ文化勃興や世界発展を使命としているように見えてたし、どちらかと言うと彼らは6章中盤でナナシが言ってた「夢の力を実体化する夢花の研究機関」の方に関わっているのかなって思ってたので。

すると夢花の研究機関はホントに純粋にあの魔法術を使った宝飾品の生産が盛んなアーノルド王子ご出身国のどこか王族たちだけが存在を知るような工房が抱えてる健全でクリーンなラボなのかも知れん。いろいろ勘繰ってごめんw

とは言えこのインテル新世界王者君臨計画の中枢人物たるルシアは妖精と人間の抗争なんかより不老不死への目的意識の方が高そうだし、テスタにとってはインテルも最終的には憎むべき人間なんだろうし、はたから見るとまじでそのうち空中分解しそうな組織だよな、胡蝶←

そうしてすべてが明るみになり、インテルと共に養父の元へ旅立つ道を選択するシハルだけど、エマの説得に心動かされ、最終的に仲間たちと共に生きることを選んでくれました。