夢100ゆめくろメインストーリーのネタバレ満載備忘録
夢世界を語る

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ロウの正体とミルの目的

改めまして、夢100くん第3部4章配信決定めちゃくちゃありがとうございます!!!涙
なんともコメントし難いコストカットのお知らせの直後だったので、クソデカ感情抑えられずに叫び散らかしてしまいました、、←

今更ながら、配信決定直後、ティザービジュアルについて「次がどこの国か分かってしまった」「まさかのトールくんだ」と驚き喜ぶ声がチラホラ上がっているのを目にいたしまして、もしかして発表のあった先週時点でまだまだ3章未読の姫って実はめちゃくちゃたくさんいらっしゃったんじゃないかと冷や汗をかきました。

わたし、自分が3章読了のタイミングで、あ、いやもちろん本編登場キャラや物語の本筋に大きく関わるようなことをあれこれ喋ったりはしないけど、誰もが見られるSNS上で、鍵もかけず、夢100タグまでくっつけて、「よーし次はトールくんもアヴァロン兄弟もついでにアマノさんも鍛えて4章待機だぁ」みたいなことをうっかり呟いてしまっていたような気がどうもするのよね(最低

振り返ってみれば、2部の時期に繋がってくださった先輩姫が何者にも屈服しない鋼鉄のメンタルの持ち主で、「12章リリースまでメイン未プレイ」という鬼縛りを己に課し、正味何年も待機しながら、「だって一気にやらないと忘れてしまうから」なんて仰っていたことがあったっけ。
我慢できず先が読みたくなってしまうわたしのようなせっかちさんだけでなく、「最終章を待っていっぺんに」という姫もきっとたくさん居るんだってこと忘れてはいけないね。猛烈に反省しました。

さて本日は特にこれといって言いたいことや思いついたことがあるわけではないのでなんとも的を得ない薄ぼんやりとした記事になること間違いなしなんですが、待ちに待った嬉しいお知らせだったので、第3部4章配信前のおさらいという名目で、分からないことや疑問に思うことを芋づる式に書き連ねてみようかなと思います。

ちなみに今夜も酔ってますぅ(殴

ロウの正体

2部の旅が始まったばかりの頃、そう言えばわたしには「ルーファス」とか「イザーク」が甚だしく恐ろしい「脅威の塊」のように見えていたなぁ、なんてことをふと懐かしく思い出しました。
そしてその原因は、ユメクイを生み出して使役するしない以前の問題、ただただ彼らの「敵意」と「身体能力の高さ」にあったと記憶しています。

姫の祈りと夢の力をたっぷりと受け万全態勢の王子たちを相手に、動きを先読みして一歩踏み込めば細切れになるくらい複雑に蜘蛛の糸を張り巡らせてみたり、守りを易突破して姫に襲い掛かり「骨が軋む」と感じるくらい全力で首を絞めてみたり、これは必死に剣を振り回したり震える銃口を差し向けるのが精一杯だった第1部のカーサやマリスのあの捨て身感を引き合いに出してみても、なんだろう、この次男三男の纏う余裕綽っぷりと言うか、「たぶん本気で来られたらみんな死ぬわ」感って半端じゃなかったと思います。
2部終盤でフレイグ兄さんが「イザークは僕が直に鍛えた」なんてこぼしていたので、恐らく世界を相手取って戦う覚悟を決めた二刀剣法の長兄が可愛い弟たちを日夜バリバリにしごいていたためバチバチに仕上がっていた、ってことなんでしょう(震

前置き長くなりましたが、かつてそのルーファスやイザークに感じていた同じ恐ろしさを、わたしは3部2章までの「ロウ」にも実は度感じていました。
1度目はセントガブリエル号の甲板の上で、次いで憤怒の罪人の監獄の中庭で、ロウは最序盤からもう2度も姫の喉を掻っ切る寸前まで攻め入って来てるんですよね。
かてて加えて吠えたり煽ったりするような喧嘩腰な敵意ではなく、眉ひとつ動かさないサイボーグのような敵意がひしひしと伝わってくる感じ、肉体の鍛錬だけじゃなく精神面までまるでいくさびとのように鍛え上げられています←

3章中盤、そんなロウは恐らくミルが「命を失ってしまった誰か」の「捨て去った夢」や「押し殺された感情」を寄せ集めて作った「人型の何か」であることが明かされるのだけど、もしそれに生前の能力や才幹が受け継がれていたりするんなら、ロウは元アヴィやキエルやダグラスを遥かに超える剣術や体術を身に付けていた武人だった、って言えるのかも知れません。
ロウがミルに対して抱く絶対的服従心みたいなものも、或いは惨めに死んでいった自分を唯一拾い上げてくれたミルに対する恩義や愛慕からなのかも知れないが、仮に人間だった頃の性格や性質が少しでも関係しているもんなんだとしたら、生きていた頃のロウは「類稀なる戦闘能力を以て主君に仕える」ような軍職に就いていて、その想いを別の夢のために押し殺したまま、それを悪夢として残したままこの世を去ったような過去があるのかも。

3章クリア報酬で手に入るロウの個別ストーリーでも、ミルが去った後のフレアルージュで彼はもう1度姫の首を斬ろうと襲ってくるのだけど、この時のロウはミルの命令ではなく独断で動いていて、自分の望む「ミルとたったふたりだけの世界」のために姫を排除しようとしているようにも見えたし、ヴォタリアで失敗したミルの望みを完遂させようとしていたようにも見えたし、いずれにしてもただひたすらに「ミルへの忠誠心」がロウの全てであることを描いた分岐のないストーリーだったように思う。

ちなみに「結局何か不思議な力が働いて姫を斬ることができないロウ」も本編個ストそれぞれ1度ずつ描かれているけれど、これは「ロウの正体」と言うより「悪夢の性質」みたいなものが顕現された描写なのかなぁという印象。

元は生身の人間だったとて今は「ミルによって作られたもの」に違いないロウ、姫の夢を取り込むたびにどろどろに溶けて苦しんでいるミルを思い返してみても、なんとなく「悪夢」というものにとって姫は本来脅威的なもので実は太刀打ちできない、到底力が及ばないために傷を付けることができない、そんな雰囲気はちょっぴり感じます。

とは言え1章でロウはキエルが「アトラの指輪を握って祈り生み出した黒鳥」を「悪夢の力を備えたユメクイ」に変容させ、我が物とし、さらにこれを使って「姫の夢を奪う」ということまでやってのけるので、「トロイの力」や「アトラの力」みたいな権威あるものに対して歯が立たないというわけでは決してなく、対象が「姫」であり行為が「直接手に掛ける」というところがその要因になっているのかも知れません。

姫だけが持っている力

夢世界で夢王族と呼ばれるトロイの子孫たちだけがその身に宿している唯一無二の能力は、便宜上「夢を与える力」という言い方をすることが多いけど、厳密に言えば「生み出す力」の方なのだと思う。

何度読み返してみても、夢世界に飛ばされてきた姫が夢100チュートリアルでいちばん初めにナビに受けた講義「王子の指輪」というアイテムについての解説は、この指輪に宿った夢王の祈りと夢の力によって王子たちは民に「夢を分け与えることができる」、なんですよね。
つまりは指輪ありきなんだろうけど、それでも「与える」という行為自体は実は各国の王子たちも日常的に行っている、ということになる。

たとえばそれが夢王から一旦お預かりした夢を指輪に蓄えておいて後でみんなに配分する、みたいな意味合いなのか、すでに自分のものになった自分の夢を困ってる人にアンパンマンの顔みたいに削ってあげてるようなイメージなのか、詳しい手順や仕組みについては分からないことも多いのだけど、ただ「まだ誰のものでもない真新しい夢」を「誰かのものになるため」に生むことができるのは間違いなく夢王だけで、それは姫がアヴィのために祈ればアヴィの夢が生まれるように、各国の王子たちがあちこち運んでいるのは既に「夢王が行き先を決めている夢」なのかも知れません。

そう言えば2部12章で姫がトロイの力を借りて「自分が生み出したすべての夢に声を届ける」ということをしたけれど、この時は夢世界中の人がひとり残らず皆一様に同じ姫の言葉を一斉に聞いていたように思う。
現在夢王族として生き残っている人間は姫ただひとりだけなので、この世界に生きとし生けるものはすべて「姫が生み出した夢を自分のものとして持っている」状態であり、引き続き「姫が生み出した夢が必要」ってことなんだろう。

死後思念体となりぬいぐるみの姿を借りている先代の夢王がそうなって尚生み出す力を使うことができるのかは不確かだけど、今ここで「姫の喉を掻っ切る」ことが結果真綿で首を絞めるようにゆっくりと「世界を終わらせる」ことに繋がると考えていいのなら、やっぱりそれは「神に背くかのような恐ろしい行い」なのだと感じます。

ちなみにこうして掘り下げて考えたときいつもわたしがどうもよく分からなくなってしまうのが「夢王自身の夢」というものについて。

たとえば1部10章トロイの指輪を失った夢世界で夢王となったライトは、生み出した夢を「増幅させる」ことができず徐に衰弱し彼自身の持つ夢の力も風前の灯火のようになってしまうのだけど、これってつまり世界維持のために夢王がやっている「生み出す」「増やす」「与える」という公務は三位一体どれが欠けても上手く立ち行かず、このうち「生み出す」ことだけが夢王自身が生まれつき持っている能力で他は指輪に備わった機能、ってことでいいんよな。

恐らく夢の力が足りない弱った身体で欠けたものを補うことが「命を削る」という表現になるんだろうって認識だったので、わたしは3部1章「夢をごっそり奪われてしまった姫」もかつてのライトのように三位一体のうち今度は「生み出す」のところに支障が出てこのままだと同じように「命を削る」ことになるものだと解釈していたのだけど、結局どちらの場面においてもなんとなくでしか理解できていないのが、「夢王自身の夢の力」というのもまた、道理に従って「夢王が生み出した夢」なのだよね?
すると夢王は、何は無くとも先ずは己に夢を与えるところから1日を始めなければならないような気がするのだけど、いやそういうもんではないのかな…

ナビが「夢王自身の夢」は夢王の身体より「夢世界維持」のため各国に散らばるようにできているとも言ってたけど、こうなると「世界を夢で満たすこと」よりも「夢王を夢で満たすこと」の方が余程難しいことのように思えてくる。

夢が持つ意味の範囲

夢が世界に誕生した瞬間それはまだ「光」と呼ばれていて、その光を生み出す力には「創造の力」「トロイ」という名が付いていた。

夢世界はとにかく何もかも夢でできていて、花が芽吹くのも穀物が実るのも生命の誕生もそれらの成長もすべて夢の力によるもの、夢が無くなれば水は干上がり木は枯れ大地は荒廃、いずれ世界は滅びてしまう。

この世界において「夢」という言葉の持つ意味の範囲はなかなかに広く、例を挙げれば人が呼吸をしたり歩いたり笑ったり喋ったりするそんな当たり前の生命活動に必要なエネルギーもすべて夢であり、さらに誰かの「強い想い」や「感情」なんかも持ち主の夢の一部だし、もちろん剣や鎌を振り回すのも魔法を使うのもユメクイを放つのもすべて夢の力によるもの、なのでこうした特別な能力によって生み出されたものもすべてその能力を持つ人の夢、ということになる。

強い夢の力は時に持ち主を離れそれだけで独り歩きすることがあり、たとえばもうこの世を去ったホープの強い願いだけが夢世界に留まり後に万物の時を止めてしまったり、アダムを覆う黒いもやから飛び散ったユメクイが彼の意志とは無関係にイヴァンに襲い掛かってしまったりするのもこの現象の一例である。

奪う力

個人的に「誰かの夢の力」がいちばん分かりやすく「目に見える状態」になっているのがこれかなって思ってる。

ぶっちゃけ第1部から第2部中盤くらいまではなんとなく「夢」と相反するものが「ユメクイ」なんだと思ってたんだけど、これについては2部7章序盤でキエルとルーファスが実演も交えながらめちゃくちゃ分かりやすく解説してくれていました。
要するに、奪う力を持つ人が自分の夢の力を集めて体外に放ったら思いがけず夢を吸い込む機能が備わった黒い夢の塊になる、みたいな理解で相違ないのだと思う。
だから奪う力を持つ者同士は誰かの夢を奪うのと同じように互いのユメクイを奪い奪われることができるし、とは言えその夢は「夢を吸い込む機能搭載」なので取り込み過ぎるとむっちゃ具合が悪くなるという←

奪う力は基本的には持ち主の意識下で意のままに操ることができるのだけど、2部6章終盤でシリルがしてたように敢えて自分の「意識から切り離して」相手に飲み込ませる、みたいなこともできれば、うっかり離れて街に出て「はぐれユメクイ」なんて呼ばれていることもあり、アトラやアダムのように「意に反して突然暴発」することもあれば、場合によっては「力が強過ぎて制御が効かない」ことなんかも起こり得る。

創造の力が「トロイ」という概念で認識されていた神話の時代にはこれに対を成すものとして「アトラ」と呼ばれていて、それはわたしたちの住む世界でも「生」が無限に増殖しないよう個の生物の「死」というものが地球上の命の総量を保ち種を維持するために必要不可欠なものであるのと同じように、夢世界の維持においてはあるべき夢の姿を保ち整えるような役割を担っていて、生み出す力とは表裏一体で唯一無二である。

もちろんこちらの世界で言う「生と死」の観念に全部当て嵌めて理解することはできないのだけど、たとえば「奪う力」も結局はその力の持ち主のために夢王が「生み出した」夢がないと使うことができない、という関係性については「生があるから死が存在し得る」と言い換えることができるだろうし、とは言えここは夢王国の夢王が統べる夢世界、「夢王の夢の力」を指輪に携えた王子たちが「ユメクイを討伐することができる」のはトロイが「兄」でアトラが「弟」であること、「兄は弟を律するし守りもする」みたいなことだからなのかも知れません。

ユメクイとメーム

メームは元「夢世界の仲間に入りたい」らしいミルが「ユメクイっていいなぁ」「こうしたらユメクイに見えるかなぁ」と羨み真似るように生成したもので、始めは単純に「悪夢の力の塊」みたいなものだったのだと思う。

ただ、1章のいざこざで「キエルの意識から切り離されたユメクイ」がこの「悪夢の力」と混ざり合い「夢を奪う力を持った悪夢」というものが誕生して世界中に飛び散ってしまったので、3章現在「各地に現れて悪さをしている」それが「メーム」であり、機転を利かせたレコルドが既に「アトラスやトルークビルとは無関係のもの」であることを各国に発信してくれてこそいるものの、多くの民にとっては「ユメクイのような何か」として認識され始めているのではないかと思われる。

2章中盤、ミルがメームを「鎖に繋いで」それが放つ青黒いもやを憤怒の罪の受刑者たちに浴びせていたことを思い返すと、恐らくメームは「誰の意識下にもない自立した存在」であり、纏っているのは「奪う力」ではなく「悪夢の力」の方なのだろう。

ヴォタリアでメームと対峙したとき、わたしはそれが「国中の受刑者たちが罪を悔い改め誇れる自分になるために捨てた自由になりたいという夢」を拾い上げて撒き散らしてるもんなのかと思ってたんですが、フレアルージュでの処刑騒動の後、「各地でメームが放っている青黒いもやはすべて姫の捨てた夢になっている」というフレイグの見解を受けて、初めてそれが「元いた異世界に戻り自由になりたい」「両親を手に掛けたあの反乱の恐ろしさを無かったもののように消してしまいたい」という「姫の悪夢」になっていることに気が付きました。

姫から奪った夢を抱えたままのメームは恐らくいつもミルが食べてるあのラベンダー色のドレスを身に付けてる特別なメームだけなので、その他大勢の子や新しく生まれる子もみんな「姫の悪夢」を青黒いもやとして身に纏ってるというのなら、そもそもロウがキエルのユメクイに何本も突き刺したあの剣から放たれていたもやが既に「姫の悪夢」になっていたはずだし、となるとロウが「生前捨てた夢が寄せ集まって形作られている」その不思議な力の源が「姫の悪夢」であり、最終ミル自身が「姫の悪夢」そのものって話になってきてもおかしくないような気がしてくる。

と言うか、ナビが「今までに感じたことがない気配」であるとは言え確かに青黒いもやからは「夢の力を感じる」って言ってる時点でこうやってアホのように元を辿れば最後行き着く先は必ずその夢を「最初に生み出した人」になるし、結局「姫」になっちゃうんだよな。

たとえばミルが特定の誰かの何かでなく夢世界中の悪夢の集合体なんだとしても、きっとその中で特別強い力を持っているのは姫の悪夢なんだろうし、すると「絵本を読み聞かせるように誰かの悪夢を持ち主の身体に戻す」「悪夢を寄せ集めて持ち主の人型を作る」という彼の行為からも少なからず姫の悪夢の気配がするだろうし、彼が生み出したメームからも姫の悪夢が溢れちゃうもんなのかも知れません。

確かにミルが直接植え付ける本人の悪夢はどうもその力を「奪う力」で吸い出してあげない限り解けないもののようなので、ほんのひととき思考の自由を奪っても時間が経てば正気を取り戻すことができるメームの放つ悪夢の力は意図せずばら蒔かれているものであり、無自覚にそうさせてしまっているもののようにも思えます。

悪夢

これは第3部から登場したこの世界の新しい概念であり、誰かがある夢を叶えるために捨てた夢、押し殺された感情、光を見るために犠牲にしてしまったものなどの総称。

2章終盤ミルの発言からミル自身が悪夢そのものであることも伺えるのだけど、今のところ彼は主に「誰かの悪夢を本人に植え付ける」ことと「死者の悪夢を集めて人型を作る」ことしかしていないので、基本これらが「悪夢の持つ力」の本体であり、またある程度力を使うと「時間になった」と言い残し「アジト」のような部屋へ帰って行くことから、恐らく今は1度に使える時間や量に制限があるものなのだと思われる。

「捨てられた夢が闇になり、闇は光が強くなるほどに深く濃く、やがて悪夢と呼ばれるようになる」と聞いたとき、わたしは個ストのホープが旅立ちの時に見ていたあの3人の兄妹たちの幸せな未来の姿、彼の「失った夢」というものが「実は悪夢になるかも知れなかったもの」だったのかと早とちりをしてしまったのだけど、たぶんホープにとっての悪夢ってそっちじゃなくて、それを望むあまり見えなくなってしまっていた方、「もう1度この世界で新しい光を見付ける」という夢の方だったのだと思う。
悪夢になり得るのは、たとえ叶わずとも強く願い光が宿っている方の夢ではなく、無意識であれ本人が選んで敢えて捨ててしまった夢、そんなものがあったかどうかも忘れてしまうくらい暗い場所に追いやってしまった夢、みたいなニュアンスなんじゃないかな。

第2部のエンドロールでは、「物語は第3部へ」という文言に続く姫のモノローグに「闇があるから光は煌き、光があるから闇はなお深く」というフレーズが登場するのだけど、もしかしたらこれが既に後の「悪夢」の登場を示唆していたのかも知れません。

「トロイの力」と「アトラの力」が「生」と「死」の関係に近いなら、確かに「夢」と「悪夢」はこちらの世界で言う「光」と「闇」の観念に限りなく近いものなのだと感じる。
「夢が強いほど悪夢の力も強まる」とミルは言うけれど、たとえば闇にも強さには度合いがあって、光やこれを遮るものの割合によって本当に何も見えない平衡感覚すら保てない真っ黒な暗闇にもなれば、目を凝らせばなんとなく輪郭が分かるような薄暗い程度の闇にもなり、さらに光の当て方や当てる場所によっては形や大きさまで変化する、つまり光と闇は正反対のものではなく同じ性質のもの、同じ概念なんですよね。

と言うか、そもそも闇は磁波や粒子でできている「光」のように実体があるわけではなく、ただ光の当たらないところが暗いだけ、そこにあるのは「光」と「それが届かない場所」だけだと表現することができるなら、夢世界に「闇」なんて本来存在しないのかも知れない。

これがミルの本質なのだとしたら、彼がわたしたちの知らない場所から「ずっと夢世界を見て」いて「夢世界の一員になりたい」と願っているその姿にはちょっぴり胸が痛むし、きっとわたしの愛する利他的で無鉄砲なこの姫はもっともっと胸を痛めてそのうち「ミルを見捨てない夢世界」を見付け引き換えに自分自身の心や身体がボロボロになるような道を進みたいって言い出すんだろう、、←

ミルの目的

たぶん、「夢世界の一員になりたい」というミルの願いを本当の意味で叶えてあげようとするならば、輝かしい夢のために押し殺そうとしたものや犠牲にしようとしたものをそのまま「要らない」と捨ててしまうのではなく、その夢と一緒に自分のものとして死ぬまでこれを持ち続けなければならない、夢世界中の人がそれをしなければならない、ということになるのだと思う。

屁理屈みたいになるけど、ヴォタリアやフレアルージュで悪さをしていた「自由になりたい」や「怖いものを消したい」って悪夢も、果たして本当にきっぱり諦めなければならなかった夢なのか、犠牲になるべき夢だったのかと考えたとき、別に持ったままでも良いよな、今後別の形や別の意味で叶うかも知れない夢だよな、とは思ったのだよね。

これでなんとなく悪夢は「夢で掻き消して打ち勝たなければならないようなもの」ではなくなり、夢と同じようにその人の生きる力であって時に持ち主を守り助けるようなもの、「夢世界の一員」にもなり得るような気がする。
もしかしたら植え付けられた本人の悪夢は持ち主が夢の力でこれに抗い抹消しようとするからさらに強い力で支配してこようとするけど、別のやり方をすればあっけなく大人しくなるものなのかも?

もちろん言うほど簡単にはいかないことなのだろうけど。
わたしの中ではもはや右に出る者はいないキングオブどの夢も捨てない男ライトだって、何度世界に裏切られ父上も母上も世界の手に掛かり妹を失って弟は闇堕ち、そもそも自分自身も殺されてもう残っているのは思念だけ、それでも夢世界を愛し光で満たす夢もまたみんなで笑い合う夢も叶うと信じて疑わないような人なのに、最後は全部捨てることを選び「夢を見てごめんね」って泣きましたから。涙

それに、本当にこれが唯一ミルの心からの願いなのかどうかも正直まだはっきりとは分かりません。
「姫の夢を喰らえば姫に夢を与えられて生きているみんなと同じ人間になれる」って本気で思ってるのかも知れないし、それにしてはロウが姫の首を斬れなかったとき「なぜ手を止めたのか」って怒ってたし、やっぱり全部建前で実際は本気で姫や世界を傷付けて壊すつもりだし真の目的は別にあるってことなのかも知れません。

でも、いずれにしろわたしたちは恐らく姫が夢100メインストーリー史上いちばん傷付くことになるであろう悪夢と近いうちに向き合わなければならないことになるでしょう。涙
それはきっと2部6章でトルークビルの兄弟たちと共に食事をした姫がぽつりこぼした「私にはもう叶わない温かい家族団らんの時間」という言葉に集約されていて、つまり姫は「実の両親や双子の兄と過ごす幸せな家族の夢」をもう「叶うはずがない」と常に押し殺しているし、もっと言えば異世界で18年間も自分を本当の娘として守り愛してくれた育ての両親には別れの挨拶さえできておらず、家族団らんどころか「最後に一目会う夢」さえとっくの昔に捨て去っています。

ロウは「姫さえ現れなければミルは夢世界の一員になることなど望まなかった」って言ってたけど、それは姫が捨ててきた夢が叶えたい夢に比例してあまりにも大きく強く、その力の影響で悪夢であるミルの能力は増幅し、できることが増えたからってことなのかも知れないですね。

まとまらなくなってきましたので、この辺で(殴

最後に…

関係ないけどわたしはそろそろメインで姫にどぎまぎして赤面するアヴィが見たいんです。
3部組にそんなアヴィを引き出せる人ってたぶんキエルしかいない。頼むキエル。

「姫ちゃんかわいい~─」
「すっごくかわいいよね!!!」
「ね、兄貴!!!」
「おーい兄貴~?」

みたいなやつやってくれぇぇぇ(切実